「ICBM(大陸間弾道ミサイル)だけが廃棄されたのでは日本にとって『意味がない』。日本を射程に入れるミサイルもしっかりと廃棄されるべきだと話したい」
その通りである。北はすでに日本全域を射程に入れる準中距離弾道ミサイル「ノドン」を数百基配備している。ICBMが廃棄されれば米国に届くミサイルはなくなるが、ノドンを廃棄させない限り日本への脅威は残る。
しかし、「意味がない」と言い切ってしまうと、米朝首脳会談に進展があっても、ノドンが残る限り日本は「合意を歓迎する」とはいえなくなる。外交の選択肢を自ら大きく狭めてしまった。
こうみると、失言王の麻生氏と断言王・安倍首相の言葉の質の違いがよくわかる。麻生氏の失言は、本人が非を認めて渋々ではあっても謝罪、撤回すれば一応収まる。安倍首相の断定は訂正や撤回がきかない。
※週刊ポスト2018年6月1日号