◆「がんかもしれません」の意味
では、がん検診において、偽陽性判定はどれくらい起きるのだろうか。青森県は、13年連続でがん死亡率が全国最下位で、罹患率も全国平均より高いため、がん検診受診率の向上を図っている。
県内10町村で2011年度にがん検診者を対象に実施した調査によると、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がんの検診を受診した計2万1316人のうち、1720人ががんでないのに「要精密検査」と判定されていた。受診者の12人に1人(約8%)が偽陽性の判定を受けていたことになる。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏はこう言う。
「青森県と同様、他地域でもがん検診は罹患率の高い胃、大腸、肺、乳、子宮頸がんの5つのがんの有無を調べることが多く、検査方法も同じです。つまり、全国的にがん検診で8%程度の“間違い”が起こっていると言えるでしょう。また、主治医による初期検査もがん検診とほとんど方法は同じなので、そこでも同程度の偽陽性が発見されていると考えられます」
がん検診など初期段階の検査は、「スクリーニング」と呼ばれる多数の人々に大雑把に網をかける方法なので、この段階での偽陽性の判定は仕方がない面もある。問題はそのあとだ。