売り上げは非公表としているが、「生ビールは、ホットスナック等つまみとの併売のほか、通常の缶ビールや缶チューハイとの併売率も高い」(JR東日本リテールネット営業戦略部)といい、ビールとつまみで“二度美味しい”ようだ。
セブンの狙いもそこだったとされる。
「100円で生ビールを売れば、ついでにフライドチキンや焼き鳥など人気のつまみ類の売り上げも伸び、相乗効果が期待できる。それに、2026年までにビール系飲料の酒税が一本化されるためビールの値段が安くなる予定なので、100円でも十分利益を上げられる見込みだったのだと思います」(前出・永井氏)
◆いくつかのハードル
実現すればまさに“コンビニが居酒屋になる”というアイディアだったが、反響はセブンの想像を超えていたようだ。ネットの騒動に詳しいビール好き編集者の中川淳一郎氏が解説する。
「セブンはデータやマーケティングを重視しているため、数店舗のテスト販売で反響を見てから全国展開するという戦略を考えていたはず。ところが今、異常な猛暑でみんな生ビールが飲みたくて仕方がない状態ですから、100円生ビールの話がネットで一気に拡散された。
歓迎の声がある一方、『治安が悪化したらどうするんだ』『店の前で酔っ払いがたむろする』といった批判的な意見も相次ぎ、賛否両論で大騒ぎになってしまった。これでは、セブンが重視する正確なデータが取れないということが、中止の実情だったのではないか。セブン側が試験販売を“延期”ではなく“中止”と発表したのも『いつ再開するんだ』などの問い合わせが再び殺到するのを避けるためだと思います」