さらには「国際的な政情不安」が挙げられます。朝鮮半島は和解で一息つき、米軍のシリア撤退は地政学リスクを交代させましたが、そうなると中東諸国がどう出てくるのか不透明です。
またEUでは英国が「ブリグジット」、フランスでは「黄色いベスト運動」「米中の貿易戦争」など不確定・不安定要素には事欠きません。政治的不安定さは経済のさらなるリスクを増長させ、リーマンショック以降継続してきた世界的な金融緩和が終わる中で、日本はどのように振る舞うのかに注目が集まります。
歴史を振り返ればこのところ10年程度を周期として大規模な経済ショックがやってきていますが、2019年はすでに「リーマンショックから11年目」にあたります。周期的なことを考慮しても、そろそろ何やら変動が起きても全くおかしくはないタイミングです。
さらに2019年には「元号」が変わります。大正から昭和の後は「金融恐慌」から「戦争」へ。昭和から平成の後は「バブル崩壊」が起こり、日本は「失われたウン十年」を過ごしました。
こうした懸念がどれ一つ該当せず株価も回復すれば、不動産市場は2018年に比して、総じてやや減速するといった程度でしょう。「新築マンションは発売戸数をやや減らしながらも価格は高止まり」「中古マンションは取引戸数・価格ともやや上昇」「新築戸建てはマンションとの相対的割安感からやや好調」「中古一戸建ては、インスペクションの説明義務化などの方策が奏功せず停滞」「リート・ファンドは高止まり継続」といった具合です。
では、これから不動産を買おうとしている方はどうすればよいか。マクロ的にはいつか金利上げは必至で、そうなれば不動産価格は下落します。しかしその内訳は多様です。
都心や駅近など利便性の高いものは「DINKS(共働き)の増加」「自動車保有率減少」などで強く、利便性が下がるにつれどんどん弱くなり、バス便ともなると、一部例外を除いて取引すら成立しないものも出てくるかもしれません。
2019年7月には空き家調査(住宅・土地統計調査/総務省)が公表され、その際には「全国の空き家1000万戸超!」「空き家率17パーセントで6軒に1軒が空き家!」といった報道が世の中をにぎわすでしょう。