その道の達人でも、最初はみんな初心者だった。大手生保への勤務経験があり、現在はファイナンシャルプランナー(以下、FP)として活躍する荒俣佳世子さんは、かつての自分をこう振り返る。
「社会人になりたての時、大手生保の営業マンに勧められるがまま、生命保険に加入。結婚して専業主婦となり、保障が不要となったため解約手続きをしましたが、当時の担当者に泣きつかれ、保険料を下げて継続しました。
その後、離婚して保障が必要となったため、営業マンに勧められるまま、複数の保障がセットになった『アカウント型』の保険に入り直しました。満期で払い戻しがある『積み立て』をベース(主契約)に、死亡保障や医療保障などの『特約』が付いたものでした。このほか、生前給付や三大疾病保障など、子供のためにたくさんの特約を付け、保険料は月々1.4万円ほどになりましたが、これで安心が買えるなら安いものかなと…。
ところが、FPになろうと一念発起し、大手生保に再就職した時、『やられた! 騙された』と気づきました。よくわからないまま営業マンの言いなりになって、いろんな保障を付けすぎていたんです」
「保険大好き」の日本人は、とりあえず保険に入れば安心と、むやみやたらと加入する人は多い。生命保険文化センターによると、一世帯当たりの保険加入件数は4件近く、年間払い込み保険料は平均40万円弱に上る。30年払い続ければ1200万円という大金だ。かつての荒俣さんのように“ムダな保障”にお金を払っていないだろうか。
◆「ムダな保障」を徹底的にカットすれば、保険料を節約できる
保険選びの失敗に気づいた荒俣さん。まずは契約中の保険の中身の見直しに取りかかったという。
「主契約の積み立ての保険料は『月1000円』に設定していました。でもよく考えてみると、保険でわざわざ貯蓄をするメリットがない。自分で資産運用する方がマシです。だから、『月100円』に減額しました。
死亡保障は保障金額を3000万円から1500万円に、医療保障も入院日額1万円から5000円に減らしました。いざという時に使える預貯金の額と、必要になる子供の教育費や生活費を照らし合わせると、そこまでの高額な保障は必要なかったんです。
それで保険料は2.2万円から1.5万円に減りました。もうすぐ子供が独立するので、さらに減額しようと考えています」(荒俣さん)
FPの横川由理さんも、「子供の成長」に合わせて保険を見直したという。