新元号「令和」が発表された途端、全国の「令和」さんが探し出され、ニュースに登場している。「よしかず」さんや「れいな」さんがいたが、今後は、新元号にちなんだ名付けもあるだろう。評論家の呉智英氏が、万葉集にちなんだ新元号「令和」登場で、キラキラした“暴走万葉仮名”読みの名前が登場するのではないかと危惧している。
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新元号が「令和」と決まった。
発表の四月一日十一時半すぎ、NHKラジオからニュースが流れた。私はテレビを見る習慣がなく、テレビは持っていない。アナウンサーは、新元号は「れいわ」です、と言う。ねいわ? れいあ? 漢字が分からない。苛々していると、アナウンサーは一、二分後に「年齢」の「れい」に「平和」の「わ」です、と言った。
「齢和」って、おかしな元号だな。「齢」は今まで元号に使われてないし。そう思っていると、少しして訂正のアナウンスがあった。「命令」などの「令」です、と言う。ははぁ、アナウンサーは画数を省略した代用表記「年令」のつもりだったんだなと気づいた。
国語辞典では「年齢」とするし、英和辞典でもageは「年齢」である。しかし、手書きの文章では「年令」を見ることもある。昨今パソコンの文書が多く、画数の多寡は負担にならないはずなのに、この代用表記が広がっているのだ。
これは「闘」の代用字の「斗」の場合と同じである。
「闘」は本来「鬪」。鬥(たたかいがまえ)は、向い合った戦斧(せんぷ)の象形である。「門」とは全然違うけれど、「鬪」の省略表記の始まりとなった。次は中の複雑な部分を音の近似した「斗」に代えて、もんがまえの中に斗と書く漢字を造字。最終的に「門」も外して「斗」となった。