実体験を聞くと説得力がある。とはいえ、がん保険にもいろいろな商品があるわけだが、医師たちはどういった観点で選んでいるのか。
ピンクリボンブレストケアクリニック表参道院長で乳腺専門医の島田菜穂子さんはこんなアドバイスをする。
「アフラックの『生きるためのがん保険Days1レディースプラン』と損保ジャパンの『勇気のお守り』に入っていますが、選んだポイントは入院1日目から保険金が出ること。乳がんや子宮頸がんは治療日数が短く、3~10日程度で退院できます。しかし保険の種類によってはある程度長期入院しないと対象外になってしまうものも多く、結局お金が出ないまま終わるパターンもある。ほかにも、抗がん剤治療で必要となる医療用ウイッグの購入や、入院中の収入補償をカバーしているかもチェックしてほしい」
◆考慮しなくてはいけないことは多数ある
がんの「ステージ」にも注目するべきと言うのは、みやびクリニック院長の矢加部文さん。
「アフラックの医療保険に、がん特約を付け加えた『ちゃんと応える医療保険EVER』に加入しています。これは入院1日目から給付金が下りるタイプ。ただし非浸潤がんといって、ごく初期のがんは適用されないんです。本当は、そこもカバーしている保険が理想です。同様のがん保険は多いので、そこはよく約款を見て確認してほしいですね」
矢加部さんががん特約を付けたのは2年前。入ろうと思ったきっかけは身内のがんだった。
「母が肺がんになったのですが、その時手術やその後の通院費に非常にお金がかかることがわかりました。私がちょうど40代になる手前で、掛け金が高くなる前に、自分も入っておこうと思ったのです。がんは気をつけていても誰でもかかる、非常にありふれた病気。医師の立場としてはもちろん、がん患者の家族としても“保険貧乏”にならない範囲で、お守り代わりに入っておいた方がいいと思いますね」
加入する年代によって、掛け金は大きく変わる。特にがん保険は、かかりやすい年代になると高額になりやすい。
マスミューチュアル生命(現・ニッセイ・ウェルス生命)の「終身がん保険」に入っているという東邦大学医療センター大橋病院の婦人科医・高橋怜奈さんは「入るなら早い方がいい」と語気を強める。