「もともとは警察からの依頼で認知機能検査をしていました。なかには判断がつかないケースがあり、3か月後、半年後に再検査するのですが、『その間に認知症が進むのは嫌だからリハビリを受けたい』という患者が出てきたのをきっかけに、外来をつくりました」
外来には「認知機能が低下している」として高知県警から受診を課された75歳以上のドライバーに加え、認知機能低下に不安を感じたり、家族に受診を促された高齢ドライバーが訪れる。
◆同年齢でも事故リスク3倍に
現在、運転免許の更新において、70歳以上は高齢者講習、75歳以上はさらに認知機能検査を受講する必要があるが、同院の診断ではペーパーテストだけではなく、MRIによる脳の検査も実施する。
「高齢ドライバーによる事故のなかには、一般的なテストなどでは認知症とは診断されていないが、いわゆる潜在的認知症の状態にあって、それによる一瞬の判断の遅れで大事故を引き起こしているケースがある。この潜在的認知症がMRI検査による診断で見つけられます」(前出・朴医師)
検査を裏付けるのは朴医師が脳神経外科医として、2010年から2011年にかけて行なった調査だ。
脳の状態と交通事故の関係性を調べるため、脳ドックセンターを受診した21歳から87歳の男女3930人に、過去10年間の交通事故歴について聞き取り調査を実施。その結果は非常に興味深いものだったという。