安倍首相は「収支トントンなら報告書に記載しなくてもいい」と説明し、野党からパーティの明細の提出を求められると、「明細書の発行は受けていない」と拒否した。
ところが、会場のANAインターコンチネンタルホテル側は野党議員やメディアの取材に、「主催者に対して明細書を提示しないケースはない」と回答し、首相の説明との矛盾が明らかになった。
◆「私が安全を保証します」
いったい、いつから安倍首相はこんなに嘘をつくようになったのか。発言を遡ると、政権に返り咲いた頃は支持基盤の保守層を惹きつけるための“大風呂敷発言”が目立つ。
植民地支配と侵略について「痛切な反省」と「心からのお詫び」を表明した戦後50年の村山首相談話について、「安倍内閣として村山談話をそのまま継承しているわけではない」(2013年4月)と見直しに言及したかと思うと、敬愛する祖父・岸信介元首相がA級戦犯として逮捕された東京裁判(極東軍事裁判)も、「連合国側が勝者の判断によって、その断罪がなされた」(2013年3月)と否定してみせた。
そして「現憲法はマッカーサーの指示でGHQがたったの8日間で原案をつくった」と指摘して、「そういう事実をやはりちゃんと見ながら、自分たちで真の独立国家をつくっていこうという気概を持つべき」(2013年4月)と自主憲法制定論をぶち上げた。
もっとも、村山談話は見直しどころか、戦後70年の安倍談話で「痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました」とそっくり踏襲し、東京裁判についても、「極東軍事裁判の判決を受諾しており、それに異を唱える立場にない」と転換。憲法改正もスローガンで、改正の中身が9条改正だったり、「私は96代内閣総理大臣だが、憲法96条を変えたい」と言い出すなど、コロコロかわった。