シンガーソングライターの広瀬香美が自身の公式YouTubeチャンネルで公開している「◯◯歌ってみた」シリーズが話題だ。ネット上で「元気が出た」「クセになる」「どの曲も広瀬ワールドに持っていってしまう」と反響を呼んでいる。なぜこれほど好評を博しているのだろうか。
昨年12月に自身のアカウントを開設し、YouTuberとしてデビューを飾った広瀬。年末恒例の音楽番組『FNS歌謡祭』のレポートを行う動画や、講師としてミュージック・レッスンを行う動画を発表するなど、精力的に活動を続けていた。そうしたなか、今年3月11日に「米津玄師さんのLemonを歌ってみた」と題したカバーを披露したのである。
流行りの楽曲を練習している広瀬の姿を見たスタッフから、「YouTube用にお願いします」と頼まれたのだという。それが公開されるや否や一気に注目を集め始めた。切ないサウンドが特徴的な原曲のイメージを一新する力強いパフォーマンスが多くのリスナーの心を掴んだのである。
翌々週末の27日には人気バンド・Official髭男dismの人気曲「Pretender」をカバー。この動画も話題を呼び、のちにトークバラエティ番組『アウト×デラックス』に出演したモノマネ芸人のミラクルひかるが新作ネタとして取り上げている。
さらにシリーズ3作目からはリスナーに投票を呼びかけ、最もリクエストの多かった楽曲をカバーするようになった。King Gnu「白日」やあいみょん「マリーゴールド」といった最近のヒット曲のほか、人気アニメ『鬼滅の刃』のテーマ曲でもあるLiSA「紅蓮華」を斬新なアレンジで歌い上げた。
またスキマスイッチ「奏」や石川さゆり「天城越え」といった時代を超えて愛されてきた名曲のほか、お笑いコンビ・どぶろっくの「もしかしてだけど」にも挑戦。浜崎あゆみ「M」では、全身全霊を注いで最後まで歌い切って倒れ込むという気迫あふれるパフォーマンスを披露した。YouTubeのコメント欄には「オリジナルすぎる」「涙が出た」「最高!」と絶賛の声が続々と寄せられている。
どの動画も広瀬がピアノ弾き語りをする姿を固定カメラで撮影したもので、けして映像や音響が特段優れているわけではない。しかし原曲のイメージを一新するような大胆なアレンジを施し、ときに鍵盤を手のひらや肘で激しく叩き、譜面代わりのタブレットを打楽器のように使用してリズムを取る迫真のパフォーマンスの魅力は、動画から存分に伝わってくる。なによりも広瀬自身が楽しげだ。