石橋に密着した『情熱大陸』は「神回」との呼び声が高く、視聴者から「考え方がかっこいい」「年齢なんて関係ないと思えた」「勇気をもらった」といった称賛の言葉が寄せられている。悪ガキ的な破天荒な芸風で鳴らした石橋だが、どうやら彼の生き方に学ぼうとするファンも少なくないようだ。
『プロ論。』(徳間書店)など数々のビジネス書を手がけ、石橋へのインタビュー経験もあるブックライターの上阪徹氏は「石橋さんの存在はビジネスパーソンに勇気を与える」と指摘する。
「石橋さんは、本物の実力を蓄積していたからこそ、組織から袖にされても、しっかり結果が出せた。しかも、やんちゃに好きなことをやり続け、ブレていない。何より楽しそうに仕事をしてきたこともまた、大きな魅力です。
年を取っても本当の力を蓄積できていなければ、リストラされるだけです。地上波からYouTubeに移行して成功を収めた石橋さんは、ビジネスパーソンとしては、垂涎のキャリアを作っていると思います。
それを可能にしたのは、石橋さんの人柄であり、人徳だと思います。私はかつてインタビューをしたことがありますが、テレビではあんなふうに見えて、実際は穏やかな笑顔で相手を気遣う紳士でした。だから、『みなおか』終了後もスタッフがついていき、彼を支えた。次々に新しい才能が出てくる芸能界で、40年近くにわたってトップランナーとして走り続けるなんて、人柄が良くないと絶対に不可能なことです。
最後はやっぱり人としての素晴らしさがあってこそ。その意味でも、石橋さんの存在はビジネスパーソンに大きな勇気を与えると思います」(上阪氏)
かつて「破天荒」「バブルのノリ」と言われた石橋は今、令和のデキる大人のロールモデルとなったようだ。
◆取材・文/原田イチボ(HEW)