世界的写真家・白川義員氏は、その人生をかけて、神秘的で荘厳で美しい、地球の姿を写真に収めてきた。作品集『天地創造』が好評発売中で、2月からは東京都写真美術館で写真展も開催される白川氏が、壮絶な撮影を振り返る。
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人生の転機は、1962年にスイスで、リッフェル湖に映る朝焼けのマッターホーンを見たこと。地球上にこんなすごい風景があるのかと仰天し、一生かけて撮らなければならないと決意した。そして、帰国後すぐに会社に辞表を出し、現地に引き返した。
以来、常に発見と感動を追い求めている。撮りたいと思ったら、撮影禁止の秘境でも10年、20年かかっても許可を取る。常々「許可取りの苦労が95%、撮影の苦労が5%」と言っているほど大変だが、決してあきらめない。特に大変だったのはヒマラヤ。K2も頂上を飛行機で旋回しながら撮影する許可が出たのは、世界で僕ただ一人。だからこそ、僕の写真はすべて前人未到と言われるのだろう。
そしていざ撮影になれば命がけだ。豪雪や高山病との戦いはもちろん、航空事故で頸椎も腰椎も骨折したり、体はもうめちゃくちゃだよ(笑い)。
作品集『天地創造』のために80歳から取り組んだ撮影では、「ものにしないと死ぬわけにいかない」と思っていた中国の張家界武陵源とアメリカのザ・ウェーブを捉えた。撮りたいものはみな撮った、そんな心境だね。
【プロフィール】
白川義員(しらかわ・よしかず)/1935年愛媛県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒。ニッポン放送、フジテレビを経て1962年よりフリーランス写真家となる。2020年刊行の『天地創造』(小学館)は“地球再発見による人間性回復へ”シリーズ第12作にして圧巻の完結編。
◆見開きA2サイズの大迫力画面で白川ワールドを堪能。196点を収録する作品編と解説編がセットになった豪華作品集。“地球再発見による人間性回復へ”シリーズの完結編『天地創造』(本体9万円+税、小学館)が好評発売中。東京都写真美術館(東京・恵比寿)で、「白川義員写真展 永遠の日本/天地創造」(第一期2月27日~4月4日/第二期4月6日~5月6日)も開催。※諸般の事情により変更が生じる場合があります
取材・文/上野裕子
※週刊ポスト2021年2月26日・3月5日号