中森明菜(写真/共同通信社)

中森明菜(写真/共同通信社)

アイドル、追っかけ、親衛隊のカーチェイス

A:さて当時を語る上で避けて通れないのが我々のような熱狂的ファンの存在ですよね。特に事務所公認の「親衛隊」。特に80年代は松田聖子親衛隊が代表的存在だった。ファンクラブと親衛隊は共存関係だったけど、親衛隊の規律はすごかった。

B:縦社会で、礼節礼儀に厳しい、きちんとした組織でしたよね。だから事務所との関係も良く、新譜をいち早くもらって応援コールの練習をしていた。順位を上げるために歌番組に電話リクエストをしたり、事務所負担でたくさんハガキを出したりしていました。

A:まだ親衛隊がない新人が歌う時は、同じ事務所の先輩アイドルの親衛隊が駆り出されることもあった。例えば松田聖子親衛隊が早見優の応援をする、といった具合。

C:よく公園で声出しの練習をやっていましたよね。それがかなりキツかったみたいで、強豪校の野球部のヤツが一度仮入隊したけど、そいつでさえ「部活よりきつい」って嘆いていました(笑い)。

B:あと親衛隊の任務で大切なのは警備。よくカメコ(カメラ小僧)との衝突がありましたよね。カメコはプライベートの写真からパンチラまで無差別に撮るから、よくトラブルになった。最初は黙ってフィルムを没収されていたけど、次第にダミーのフィルムを用意するようになったので、カメラごと没収するようになっていた。

C:かなり際どい写真を撮ったのがバレて乱闘騒ぎになりかけた時、カメラを捨てて逃げるヤツもいましたね。当時1台10万円以上する高価なカメラを捨てて大丈夫なのかなと思ったけど、要はひとつのイベントで撮った写真を雑誌に投稿したり、コンサート会場の前で生写真を売っている業者に卸すだけで、簡単に元が取れたんですよね。

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