当時の彼には、雑誌に載っているグラビア写真よりも、人を傷つける行為のほうが性的興奮を得られた……と取れる問答だ。
当時、検察側は論告で「少年は犯行を繰り返しており、殺人への衝動が強く再犯可能性が高い」として、懲役5年以上10年以下の不定期刑を求刑していた。対する弁護側は「再犯を防ぐため継続的な教育を行う必要があり、それができるのは医療少年院をおいてほかにない」と主張。判決で田村真裁判長は弁護側の主張に寄り添う形の「医療少年院で治療や矯正教育を施すことが有効」として、家裁に移送する決定をした。のちに送られた医療少年院を出院後、今回の逮捕へと至っている。
公判に出廷した精神科医は、当時、広汎性発達障害と診断されていた彼について「治療は施設で終わらない。なぜなら施設に女の子がいないから。施設で治療が終わると思ったら困る。出てからが問題」と、継続的な医療機関との関わりの必要性を強調していた。
出院後の通院状況はいかなるものだったのか。茨城事件の動機も含め、全容解明が待たれる。
取材・文/高橋ユキ(フリーライター)