「推しを助けるのは自分」の気持ちで応援
新型コロナウイルスが感染拡大したことで、舞台の上演中止や無観客試合などになり苦しむエンタメ業界やスポーツイベントなどの投げ銭活用も進んでいる。
たとえばサッカーJリーグでも公式戦が中断された2020年は、浦和レッズがスポーツのニュースや動画を楽しむアプリ「Player!」を活用した例が話題になった。練習試合をYouTube Liveで生配信しながら、それに合わせてPlayer!上でOBなどが試合の解説を配信した初回では、なかには一人で10万円もの寄付するサポーターが現れた。
新型コロナウイルスの影響で競技場や演芸場、ライブハウスやコンサートホールへ行くことができなくなった人たちがライブ配信を楽しみ、そのうち少なくない人が、投げ銭に感謝の気持ちをこめられることを体験している。ファンのアーティストのライブツアーがあれば必ず参加していたという40代女性は、それまでネット上でお金をやりとりするのは通販くらいだったというが、投げ銭は意味があることだったと語る。
「生活費からわずかだけれど投げ銭をしました。コロナでしんどいと思うことも多いけれど、推しの存在が心の支えになっているし、またリアルでライブを見られるときを楽しみに日々をがんばれる。だから推しには、それまでがんばってもらわないと困るから応援した」
別のあるVTuberに日々投げ銭する自らオタクを自認する20代男性は、「お金を払うことがアイデンティティになっているかも」と語る。「『俺の投げ銭でカメラが良くなったな』とか思えるのが嬉しい。自分が支援しているから活動できていると思っているし、特別扱いされているのが気持ちいい」。
何をするわけでもない配信者に普通の人が投げ銭を繰り返す
投げ銭機能を活用しているのは、プロスポーツ選手やステージに立つ人、Vtuberなど多数に見てもらうことを仕事とするたちばかりではない。2020年に緊急事態宣言が発令されたとき、営業休止となって困ったキャバクラ嬢たちが生配信で投げ銭を集める例も増えた。
「投げ銭をすると名前を呼んでもらえるし、ランキング上位に入って存在を認めてもらえる。それに、額によってランキングが画面に表示されるから、つい投げ銭をしてしまうんですよ」
とあるキャバクラ嬢の配信を必ず見ている40代会社員男性は、その醍醐味を楽しそうに明かしてくれた。あまり大声で「推し活」しています! とは言えないかもしれないが、投げ銭をしたくなる人が現れるのはわかる配信者だ。一方で、なぜ投げ銭が集まるのか分かりづらい配信もある。