村上は高校時代、試合中のベンチや移動のバスでは坂井監督のそばに座った。プロとなっても、入団当初は小川監督や宮本氏、現在なら高津監督の側に陣取って戦況を見守っている。
「それがあの子の野球に対する姿勢ですね。昔、野村克也監督の横に古田(敦也)さんが座り、その横に僕ら若手が座っていた。僕らは座らされていましたけど、村上は自ら率先して座っている。このまま成長を続ければゆうに3割を超えて、50本は打てる逸材。普通に日本のプロ野球でやっていたら、500本は確実に打つでしょう」
だからこそ、優勝を争う中で、初のタイトルを、それも二冠を──。それを達成した時、村上は令和の怪童となる。
【プロフィール】
柳川悠二(やながわ・ゆうじ)/1976年、宮崎県生まれ。法政大学在学中からスポーツ取材を開始し、主にスポーツ総合誌、週刊誌に寄稿。著書に『永遠のPL学園』(小学館文庫)。2016年、同作で第23回小学館ノンフィクション大賞を受賞。
※週刊ポスト2021年10月29日号