現在の国際社会で、似た状況になりつつあるのが中国だ。習近平・国家主席は、今年秋に開かれる党大会で3期目の続投が確実視される一方、ナンバー2の李克強・首相は2023年での任期満了の予定だ。李氏の退任後、習氏が暴走する懸念があるという。
「盟友関係にあったプーチン-メドヴェージェフと違い、習近平氏と李克強氏はずっと政治的なライバル関係にありました。習氏は李氏の政治力を削ぐことに力を注いできましたが、それが一定の抑止力となってきた側面がある。李氏の後任に習派の人物が選ばれた場合、対抗勢力がいなくなることになり、習氏の独裁化が強まることでしょう。
そこで危惧されているのが、習氏の悲願とされる台湾統一です。習氏はプーチン氏のウクライナ侵攻を事実上容認する姿勢を示しましたが、念頭にあるのは似たようなシナリオでの台湾侵攻でしょう。国際社会からの批判や経済への影響を考えると、ウクライナ侵攻同様、国家としてのリスクは高いはずですが、このままではそうした否定的意見が共産党内で封殺されてしまう状況になってしまうのではないでしょうか」(同前)