山倉、村田は打率2割程度でも「パンチ力」があった

山倉和博にはパンチ力があった(1988年。時事通信フォト)

山倉和博にはパンチ力があった(1988年。時事通信フォト)

 森昌彦が扇の要となっていたV9以降、強打の阿部慎之助入団以前まで27年間で、巨人は10回優勝している。その年に最も出場数の多かった捕手はどのくらいの打撃成績を残していたのか。

【巨人優勝時のレギュラー捕手の打撃成績(1976~2000年)】
1976年 吉田孝司:2割6分0厘 5本 37打点(124試合)
1977年 吉田孝司:2割2分9厘 5本 25打点(93試合)
1981年 山倉和博:2割0分5厘 11本 40打点(124試合)
1983年 山倉和博:2割5分4厘 6本 41打点(115試合)
1987年 山倉和博:2割7分3厘 22本 66打点(128試合)
1989年 中尾孝義:2割2分8厘 5本 27打点(87試合)
1990年 村田真一:2割7分3厘 13本 44打点(84試合)
1994年 村田真一:2割4分8厘 10本 41打点(120試合)
1996年 村田真一:2割0分8厘 5本 26打点(99試合)
2000年 村田真一:2割0分4厘 7本 34打点(84試合)

 1981年の山倉、1996年や2000年の村田のように打率2割程度の捕手もいるが、1987年に山倉は22本、66打点と恐怖の8番打者としても優勝に貢献し、MVPを獲得した。村田も優勝以外の年を含めれば4度の2桁本塁打を放っている。

「2人ともパンチ力があり、意外性があった。原監督も小林に阿部のような成績は期待していないでしょう。ただ、かつてのチームメイトである山倉や村田のように時折、殊勲打を放って相手に『油断したらやられる』と警戒される打者になってほしいはず。昨年、一昨年の小林は相手に危険性を全く感じさせられなかった。たまに爆発する試合や時期があれば、年間トータルの数字は良くなくても、出番は増えると思います」

 山倉は『身長と同じくらいの打率』と揶揄された1981年も11本塁打を記録した。村田は左投手を得意とし、甲子園に滅法強いという特徴もあった。1994年には勝負強さも光った。7月5日には2対5の9回表に阪神の薮恵一から同点3ランを放ち、中日との最終決戦『10.8』でも貴重なソロホームランを打っている。不振だった1996年も、開幕カードの阪神戦でサヨナラヒット、優勝争いが佳境に入った9月28日には、チームが苦手にしていた阪神の川尻哲郎から逆転二塁打を放つなど、打力でも要所で貢献した。2000年も8月31日からの6試合で4本塁打、11打点とツボにハマった時期があった。

「粘って四球を選んだり、進塁打を打ったりできるかも重要です。小林は一昨年21打席で0四球(2死球)、昨年79打席で1四球(1死球)しかない。8番で、後ろの打者が投手なのにこの数字ではレギュラーを奪えないのも仕方ありません。今年は結果的に三振でもファールで粘るなど内容のある打席が求められます」

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