純粋に野球を頑張る子を応援したい
今も井元は週末になると中学野球の現場に足を運ぶ。
「お気に入りの選手には野球道具を買うてあげたり、グローブをプレゼントしたり。他意はありませんよ。純粋に、野球を頑張る子を応援したいという気持ちだけ。彼らは近所の野球好きのおじいちゃんぐらいに思っとるんじゃないかな(笑)」
ノースアジア大明桜のスカウトを昨年8月に辞した井元は、学校から感謝状をもらったという。60年以上の高校野球との関わりの中で、甲子園で通算99勝を挙げ、プロ野球選手83人を送り出してきた。しかし、これまでの野球人生で感謝状のようなものはもらったことがなかったという。
甲子園通算58勝を誇る名将・中村順司がPLの表の顔ならば、井元は裏の顔だった。常に日蔭に身を置き、絶大な人気を誇ったPLを下支えした。そんな井元にとっては、感謝状よりも教え子からプレゼントされたサイン入りキャップのほうが宝物だろう。
(文中敬称略)
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