1975年の朝食(出典『東北大学 日本食プロジェクト研究室の簡単いきいきレシピ』世界文化社刊)

1975年の朝食。ベーコンと根菜の炒り煮、しらすと小ねぎの卵焼き、わかめと豆腐のみそ汁、果物(出典『東北大学 日本食プロジェクト研究室の簡単いきいきレシピ』世界文化社刊。イラスト/いばさえみ)

 1975年型の食事は、摂取カロリーはほかの年代と比べると高い。戦後間もない1946年が1日あたり1903kcalだったのに対し、1975年は2226kcal。なんと、現代の食事よりも高カロリーだ。

 だが、都築さんによれば、当時の日本人は現代人よりもずっとスリムで健康だった。現代人の1日の摂取カロリーは平均約1800kcal。戦後よりもカロリーの低い食事をしているのに、肥満や生活習慣病患者が増えているということは「食事の内容」に理由があることは明白だ。

「1975年当時、一般的な男性(40代、身長170cm)の平均体重は、現代人と比べると6kgも少なかったのです。栄養は複数のものが補い合って初めて恩恵を得られる。カロリーが高くても、1食で摂取する食材の種類が豊富で栄養バランスが取れるため、現代人よりも消化や代謝がよかったと考えられます」

 現在、健康的にダイエットできるとして、たんぱく質(Protein)、脂質(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)のバランスを計算して食べる「PFCバランス」の考え方が注目されている。1975年型の食事は、PFCバランスも理想値に近く、カロリーこそ高いが、太りにくい献立でもあるのだ。食文化史研究家の永山久夫さんは、1975年型の食事は精神的にもよい影響を及ぼすと語る。

「当時の日本人が皆ニコニコと活気に満ちていたのは、食事の影響も少なからずあると考えます。大豆製品やかつおぶしには、“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンの材料になる『トリプトファン』というアミノ酸が豊富に含まれているのです。当時、海外から来た人が“日本人は皆、ニコニコと幸せそうにしている”と驚いていました」(永山さん・以下同)

 東北大学大学院での実験では、1975年型の食事を摂ったマウスは、平均して2割も寿命が延びた。ヒトに当てはめれば、日本人の平均寿命は100才を超えることになる。

「もちろん、当時は肉体労働が多く、生活環境の違いもあります。しかし、1975年の献立は“スーパー和食”。浸透させれば、日本人の健康寿命はもっと延びるでしょう」

※女性セブン2022年6月9日号

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