日米開戦の意思決定過程を『昭和16年夏の敗戦』で描き出した

「歴史の検証に耐えられる、意思決定の情報公開が必要」

 日米開戦の意思決定過程を僕が『昭和16年夏の敗戦』で書くことができたのは、政府と軍部の意思決定の場である「大本営政府連絡会議」の記録があったから。実際には会議の議事録は公開されていませんが、戦後、役人らが残したメモが出てきました。1945年8月15日には霞ヶ関のあちこちで煙が立ち、太平洋戦争にまつわる重要書類は全て燃やされたにもかかわらず、です。

 敗戦の混乱の最中にあっても、秘かに持ち出され、分散して保存されていた公文書が存在していた。戦後、それらをつなぎ合わせることで、なぜ敗けると分かっていたアメリカとの戦争に日本が突っ込んでいったのか、その政策決定過程の発言を拾うことができたわけです。

 同書では日米開戦前夜に設置された「総力戦研究所」について調べました。同研究所は軍人だけでなく、文官の若手エリートを多く集め、日米開戦のシミュレーションを行いました。その研究員たちの日記や直接のヒアリング、若干の記録などから再構成することで、そのシミュレーションの内容と、大本営政府連絡会議の意思決定プロセスで、どのような発言があったかを検証できたのです。

 歴史の検証に耐えられる、意思決定の情報公開が必要なのです。国会の場合にはテレビ中継などで情報公開をしていますが、参議院議員としては、その場で直接政権に質していくことが必要だろうと思っています。

 翻って現在の岸田政権は、改革を志す人たちもいることはいますが、外から見える部分とよく見えていない部分があって、複雑です。そこを「見える化」していくことはとても重要。岸田さんは「新しい資本主義」を掲げていますが、「調整」「調整」とやっていて、調整しすぎて意思決定のプロセスが見えない。

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