エレベーターの隅には椅子が置いてあるし、壁は板張りで、共有スペースもゆったり。当選したら6年間、その席に座っていられるからか、衆議院議員会館と比べると人の出入りもまばら。のんびりゆったりしているの。
今回、立候補した話題の人たち、たとえば小野正芳さん(59才、芸名・水道橋博士)や東谷義和さん(50才、通称・ガーシー)、下村きよしさん(76才、芸名・中条きよし)はもし当選したらここに事務所を持つのよね。
国会議事堂が見える事務所に専用の執務室と応接室が与えられて、公設秘書を3人、参議院から雇い入れられる。霞が関の並み居る官僚たちが体を90度に曲げる「ご挨拶」に来る。分刻みの会議の合間を縫って来客と写真撮影に明け暮れる日常業務に、「なんかオレの考えている政治と違うんだけどな」と思うか思わないのか。選挙期間中、新人候補者のフレッシュな街頭演説を聴いていると、永田町の「当たり前」が浮かんで、余計な心配をしちゃうんだわ。
つい先日のこと。
「てかさ。いつも消去法で投票してきたけど、今度という今度は、入れたい人がいないんだよ。こんな場合はどうするのよ」
先日、LINE友達のU氏(48才)から泣きのメールが届いたの。彼の選挙区では「自民1人、立民1人で、どっちも嫌い」なんだって。でも選挙は国民の権利だから選挙権を得てから一度も棄権したことがない。「じゃあ、白紙投票は? 投票率を下げずに、みんな嫌いという意思表示ができるよ」と言うと、「清き“死に票”ってことね(笑い)」だって。
それともうひとつ余計なことを言うと、6年って長いよ。小学1年生が6年生になるもの。その間、高く掲げた政策にじっくり取り組んで成果を出せるのが参議院議員の特典だとしたら、2期目、3期目の議員や政党ははっきりとシンプルに私たちに見せていただきたいのよ。それが見えないから「選びたい人がいない」という嘆きになるんだって。しまいには「参議院って必要?」と言い出す人がこの選挙期間中、私の周辺で増えているような気がするんだわ。
参院選の比例代表は昔の言い方をすれば、全国区。誰に入れたらいいか決めていない人が有名人に投票するのは当たり前で、それを当て込んで結党するのも当然の話、だと思う。有名人はそれぞれ、時代の風を受けて出てきた人だしね。それなら、そのやる気を参議院の“元貴族院っぽさ”が骨抜きにしないかしらと、私の老婆心は止まらないんですけど。
※女性セブン2022年7月21日号