自己判断は危険なのだ。
また、肛門にできるがんは症状によっては切れ痔やいぼ痔と間違われやすい。佐々木医師が続ける。
「“お尻が痛い”と訴える患者を診察すると、切れ痔とその周りに腫れを認めました。治療し、数週間後に改めて診察すると傷は治っていたのに周囲の腫れが残っていました。大きな病院を紹介したところ、皮膚がんの一種である基底細胞がんが見つかりました。肛門治療の経験が少ない医師なら、切れ痔が治ったからと治療を終了して、がんを見逃していた可能性があります」
前出の佐藤医師も語る。
「いぼ痔と間違われることも多い。肛門がんの主な自覚症状としては、腫瘍が膨らんできて肛門を触ると異物がある、肛門の外側の皮膚が痛む、出血や血便、便秘や便が細くなるといったことが挙げられます。ただし、いぼ痔も同様の症状があるので、自覚症状だけでは見逃しやすい。肛門科の医者が触診などで診察しないと判断がつきにくいのです」
※週刊ポスト2022年8月5・12日号