便秘一覧

【便秘】に関するニュースを集めたページです。

痛みは体のシグナル(写真はイメージ)
痛みは体の異変を知らせる大事なシグナル 便秘薬や下痢止めの使用には注意を
 便秘薬に下痢止め、整腸剤──お腹の痛みや不調を改善する薬は数多あり、そのほとんどは市販薬として簡単に手に入るが、専門家によれば腹痛時に安易に薬を用いるのは逆効果だという。目黒の大鳥神社前クリニック院長で消化器内科医の北村直人さんが解説する。「そもそも痛みは体の異変を本人に知らせる大事なシグナル。そのため、たとえば救急外来では原因が特定できない限り痛み止めは使いません。特に腹痛は、胃炎や胃潰瘍から肝機能障害や腎結石、尿管結石などさまざまな原因が考えられる。さらに、心筋梗塞でも胸痛ではなく腹痛が起こることもあるうえ、新型コロナの症状である可能性もあります。 また、過去に痛み止めで無理に胃痛を抑えていた同僚が、実は進行胃がんであることがわかり、ほどなくして亡くなったケースもありました。盲腸だったのに自己判断で胃薬をのみ続けて胃に穴があいて緊急手術になった人もいる。なるべく薬に頼らずに症状と向き合ってほしい」 特に便秘と下痢は鎮痛剤の依存性や副作用も懸念されるため、なるべくセルフケアで緩和したい。「便秘薬は一度のみ始めると服用量が次第に増えてしまう。運動やお腹を温めることを積極的に行ってください。また、下痢のときに下痢止めはNG。悪いウイルスや菌が排出されるのを止めてしまい、かえって症状が長引きかねません。軽いものであれば食事を抜き、水分を摂って安静にしていれば治ります。ひどければ迷わず病院を受診してください」(北村さん)痛みに負けない「立ち方」と「眠り方」 普段の生活を改善することによっても症状を問わず痛みを緩和することができる。痛みのセルフケアに詳しいみやおか整体治療室の宮岡大樹さんが真っ先に取り組むべきと話すのは、「立ち方」と「眠り方」の改善だ。「多くの人が立ち方や眠り方にくせがついており、それがこりや痛みの原因となっています。痛みが出ない方法を身につけてほしい」(宮岡さん・以下同) 宮岡さんによれば、立つときはお尻とお腹に軽く力を入れ、肩甲骨が内側に入らないよう胸を軽く張ることを意識する。眠る際、腰痛の人は反り腰であることが多いため、うつぶせ寝は避け、あお向けになるか、もしくは横向きの場合はひざにクッションを挟むといいそうだ。正しいポーズを身につけたら、水分の摂取も意識したい。「車のオイル交換と同様、新しい水を体内に入れなければ細胞が活性化せず、筋肉の伸び縮みも自在にできなくなり、内臓にも負担がかかります。意識して水分を多く摂り、古いものを排出していくことで回復力が上がります」 水分とは反対に、カフェインの摂取は控えたい。北品川藤クリニック院長の石原藤樹さんは言う。「痛みの性質にもよりますが、不摂生や生活習慣的なところから出てくる痛みも多い。運動不足から腰の痛みが出たり、カフェインの摂りすぎから頭痛が出たりすることもある。神経や筋肉が緊張して痛みの要因になることがあるため、ストレスをためない生活を心がけるのも必要です。 ただし感じる痛みから目をそむけることは避けてほしい。そもそも痛みは体が悪くなっていることを表すシグナルです。原因に意識を向けてほしい。過去に経験したことのないような痛みは自己判断せず、医師にかかりましょう。大きな病気が隠れている可能性もあります」(石原さん)“内なる声”を薬で消さずにしっかり聞こう。※女性セブン2022年6月23日号
2022.06.15 07:00
女性セブン
“トイレでの最期”を防ぐためにどうするか(イメージ)
油断してはならない「高齢者の便秘」“トイレでの最期”を避けるためにすべきこと
 日々の食事は健康に直結するが、“出す”のも命がけだ。トイレが高齢者にとって、死を招く危険な場になっていた。 大便の状態を記録して腸活を実践するアプリ「ウンログ」の経営会社が、2020年にユーザー3000人を対象に行なったアンケートでは、コロナ禍で排便状況が変わったという人は50%を超え、その人のうち43.3%が「便秘になった」と回答。たかが便秘と放置しがちだが、高齢者の便秘には死を招く恐怖がある。 排便時にいきむと血圧は急上昇しやすく、その結果「脳卒中」や「心筋梗塞」、「動脈瘤解離」などを発症するリスクが増加すると指摘されているのだ。 日本初の便秘ガイドライン『慢性便秘症診療ガイドライン』(2017年)によれば、便秘とは「排便回数が少ない」または「排便困難」な状態のことを言う。ガイドライン作成に携わった、横浜市立大学大学院の肝胆膵消化器病学教室・主任教授の中島淳氏が語る。「正常な排便回数は『1日2回~2日に1回』とされ、毎日のお通じは必ずしも必要ないものの、排便が3日に1回になると危険信号です。また、排便困難というのは、排便時に強くいきむ必要があったり、残便感があったりする状態のこと。仮にお通じが毎日あったとしても、いきみや残便感が生じれば便秘と言えます。特に高齢になるほど排便困難を感じるケースが増えるので要注意です」 排便回数や頻度だけでなく、「便の状態」もトイレ死を見極めるポイントとなる。「スムーズに排便するためには、便の形状や硬さが重要です。理想的な便の状態としては、硬くも柔らかくもない『バナナ状』がベスト。水のような下痢や軟便が出ている状態、またはウサギのフンのようにコロコロした硬い便の場合は健康状態に注意が必要ですが、特に後者の人は、排便時に強くいきむ必要があるため、トイレ死のリスクが増します」(中島氏) 自分は便秘じゃないから大丈夫──という人も油断してはいけない。しらはた胃腸肛門クリニック横浜院長の白畑敦氏が語る。「一般的にトイレは他の室内と比べて温度が低い場所で、暖かい場所から寒いトイレの個室に入ったり、冷たい便座に座ったりすることで血圧が急激に上昇することがあります。今は暖かくなったとはいえ、まだ冷える日もあるので、夜中や早朝の時間帯に布団の中からトイレに行く時は、血圧の変化に気を配る必要があります」 朝方は日中よりも血圧が高くなりやすい。脳梗塞や心筋梗塞の時間帯別発症数は、午前8~12時の起床後まもない時間帯が最も多いとの研究結果もあり、朝方のトイレには特に注意が必要だ。また歳を重ねると持病はつきものになるが、高血圧の人は「トイレ死」のリスクが高いことも知っておきたい。中島氏が語る。「排便時にいきみ、血圧が急上昇することで死のリスクが増すので、もともと高血圧の人はさらに血圧が上がるためハイリスクになります。血圧が高く、日常的に降圧剤を服用しているご年配の方も多いですが、トイレでいきむ時は薬の服用に関係なく、血圧が急上昇するので油断は禁物です。また、過去に心筋梗塞や脳梗塞などを発症した人も、動脈硬化が進んでいるためリスクがあります」刺激性の便秘薬は… トイレで死を迎えると下半身を露出していたり、糞尿まみれになったりするケースもある。人生の最期を迎える場としては、なるべく避けたいシチュエーションだ。悲惨なトイレ死を防ぐにはどうすべきか。大切なのは、まず日常生活を整えることである。「規則正しい生活をすることで自律神経のバランスが整い、便が出やすくなります。睡眠も大切な要素なので、夜ぐっすり眠るために昼寝は30分程度にとどめてほしい。ウォーキングなどの適度な運動も効果的です。 また特に重要なのが食事で、食物繊維を多く摂るように心がけましょう。国が推奨する1日20gは、キャベツなら1個、シイタケなら30枚、リンゴなら6個に相当してハードルが高いですが、肉食習慣のなかった江戸時代の日本人は、毎日100g以上の食物繊維を摂取し、便秘とは無縁だったとされています。まずは野菜を多く摂るように取り組みましょう」(中島氏) 便秘を自分で治そうとして、薬局などで売られている便秘薬に頼るケースは多い。だが市販の便秘薬には落とし穴がある。白畑氏が語る。「市販薬の大半は『刺激性』の薬で、お腹をグルグル刺激して便を出させます。しかし服用するうちに耐性ができ、飲む回数がどんどん増えて薬物依存につながります。一方、病院で処方されることの多い『非刺激性』の便秘薬は、クセにならず効果が持続します。自分でなんとかしようとせず、医者に相談したほうがよいでしょう」 その他、便秘の解消にはお腹を「の」の字に手でさするマッサージが効果的で、いきみを防ぐ理想的な排便姿勢(図を参照)もトイレ死を防ぐ有効な手段となる。快適な生活は快便から始まるのだ。※週刊ポスト2022年6月3日号
2022.05.29 11:00
週刊ポスト
コロナ以降、便秘を訴える高齢者が増えているという(イメージ)
高齢者の便秘は要注意 踏ん張ることで脳卒中、心筋梗塞、動脈瘤解離のリスク増
 約2年半にわたるコロナ禍でのライフスタイルの変化により、心身の衰えた状態を指すフレイル(虚弱)などの弊害が叫ばれている。そんな中、急増している意外な症状がある。「便秘」だ。横浜市立大学大学院の肝胆膵消化器病学教室・主任教授の中島淳氏が言う。「若い方に関してはそうでもないのですが、コロナ以降は、ご年配の方で便秘の症状を訴える人が明らかに増えています。高齢になると、蠕動という大腸の働きが低下するうえ、排便に必要な腹筋などの筋力が弱くなるため、便秘になりやすい。巣ごもり生活で運動量が減ったため、さらに便秘の高齢者が増えたのだと思います」 大便の状態を記録して腸活を実践するアプリ「ウンログ」の経営会社が、2020年にユーザー3000人を対象に行なったアンケートでは、コロナ禍で排便状況が変わったという人は50%を超え、その人のうち43.3%が「便秘になった」と回答している。 たかが便秘──と放置している人も多いだろう。しかし、高齢を迎えてからの便秘は、死を招く怖れがあるのだ。「ご年配の方は若年者と比較して、排便時の“いきみ”の際、血圧が急上昇しやすいというデータがあります。若年者の普段の血圧は110mmHgくらいで、排便時にいきんでもさほど数値は変わりません。一方、高齢者の場合、普段の血圧は120mmHgほどですが、排便時には150~160mmHgに上昇します。便秘の高齢者はいきみが強く、長くなりがちで、通常120mmHgほどの血圧が一気に280mmHgに達するとの報告もあります。 動脈硬化が進んで血管が硬くなっていることが急上昇の原因ですが、こうして排便時に無理にいきんでしまうと、血管が破れたり詰まったりして『脳卒中』や『心筋梗塞』、『動脈瘤解離』などを発症するリスクが増加します」(中島氏) 事実、トイレで死亡する実例は、多く報告されている。藤田保健衛生大学(現藤田医科大学)救急部の統計(2006~2009年)によれば、救急搬送した非外傷性心停止907例のうち、トイレで発症したケースが101例あったと報告されている。「埼玉県所沢市内のトイレで発症した救急搬送の症例でも、脳梗塞やくも膜下出血、大動脈解離、その他、起立性低血圧による失神や心肺停止などの死亡例が報告されています」(同前) 昨年6月には、東京メトロ八丁堀駅の多機能トイレで倒れていた50代男性が、搬送先で死亡。警報システムに不備があり、倒れてから発見されるまで7時間経っていたことが大きな話題となった。 東北大学の本蔵賢治氏が2016年に発表した論文では、排便頻度が「4日に1回以下」の人は「1日1回以上」の人に比べて、心血管疾患による死亡リスクが、最大1.39倍、脳卒中による死亡リスクが最大1.9倍にも上昇した。「3933人(20歳以上)を15年間にわたって追跡調査したアメリカの研究でも、便秘症のある人はない人に比べて、15年後の生存率が約4分の3に低下するとの報告がされました。また、便秘の人はパーキンソン病になりやすいという研究結果もあります。便秘は重症化すればするほど、死亡リスクが高まるのです」(同前) コロナで便秘の高齢者が急増する中、「トイレ死予備軍」も急増していることは間違いない。※週刊ポスト2022年6月3日号
2022.05.27 07:00
週刊ポスト
(写真/GettyImages)
「菌活」にはぬか漬け、納豆、味噌汁が◎ 運動と関係する“アスリート菌”も注目
 人間の体には、1000種類以上の菌が存在しているという。それらの菌は一般的に、ビフィズス菌などの人体に有益な働きをする「善玉菌」、健康を害するO-157などの「悪玉菌」、そしてその時々によっていい働きも悪い働きもする「日和見菌」に分類できる。 善玉、悪玉、日和見に限らず、より多くの種類の菌がバランスよく、数多く存在するように、体の環境を整えることを「菌活」という。常在菌の状態がよくなれば、便秘解消やダイエット効果だけでなく、睡眠の改善、免疫力アップ、美肌・美髪効果、アンチエイジング……と、全身にさまざまなメリットが期待できるという。“菌活”のために菌を体に取り入れるには、ヨーグルトなどの発酵食品を食べるのが有効だ。だが、やみくもに食べ続けていても、効果は期待できない。腸活専門看護師の小野咲さんは、自分に合った菌を探すことが先決だと話す。「例えば乳酸菌。現在、乳酸菌は250種類以上も見つかっており、どの乳酸菌が体に合うかは、人それぞれ異なります。ヨーグルトなら、2週間同じものを食べ続けてみて、便通や体調がよくなれば、自分に合っているといえます。ただし、ずっと同じ商品ばかりを食べてもあまり意味がありません。2週間ずつ、いろいろな種類のヨーグルトを食べることをおすすめします」(小野さん・以下同) ヨーグルトといえば、よく「生きたまま腸に届く乳酸菌」というキャッチフレーズのついた商品を見かける。だが、「死んだ乳酸菌は無意味」というわけではない。「乳酸菌の死骸は腸内細菌のえさになるので、ムダになることはありません。そもそも、こうしたキャッチフレーズがついていても、菌は腸に届く前にほとんどが胃酸で死んでしまうでしょう。本当に生きたままの乳酸菌を摂りたいなら、食後にヨーグルトを食べれば、胃酸が弱まっているので、菌が死滅しにくくなります」 菌ケア専門家でKINS代表の下川穣さんは、ぬか漬け、納豆、みそ汁のうちのどれか1つを毎日食べるようすすめる。「ぬか漬けは乳酸菌だけでなく、腸内を酸性に保つ働きがある酪酸菌も摂ることができる。納豆菌は熱に強く、黒豆納豆なら、腸内細菌のえさになるポリフェノールも豊富です。みそはさまざまな菌をバランスよく取り入れられるうえに、みそ汁の具になる海藻類や魚、玉ねぎなどは、菌のえさになるものが多い。どんな人も毎日必ず食べてほしい」(下川さん)電子レンジより蒸し器調理が菌に効く 善玉菌のことを「プロバイオティクス」というのに対し、善玉菌のえさになるもののことを「プレバイオティクス」という。その代表格が食物繊維だ。「食物繊維には、根菜類や豆類に豊富な不溶性と、海藻類や大麦、オクラや長いもなどのネバネバ食材に豊富な水溶性の2種類があります。 不溶性食物繊維は便のかさを増して腸のぜん動運動を促すため、軟便や残便感のある人におすすめです。一方、水溶性食物繊維は腸内の水分を吸ってドロドロのゲル状になり、汚れをからめ捕って排出するのを助けます。現代人は水溶性食物繊維が不足しがちなので、意識して摂ってほしい」(小野さん) そのほか、ポリフェノールやオリゴ糖も、善玉菌のえさになる。ポリフェノールには、活性酸素を減らすことでビフィズス菌の働きを助ける作用もある。そして、水溶性食物繊維とポリフェノール、オリゴ糖のすべてが含まれる食材が「りんご」だ。「毎日、2個か1個半のりんごを3週間食べ続けることで、ビフィズス菌が15%増えて、悪玉菌の代表格であるウェルシュ菌が減ったというデータもあります」(下川さん) オリゴ糖は納豆や玉ねぎ、アスパラガスなどにも含まれるが、食材に含まれる量は少なく、腸に届けるためには約5gを摂取する必要がある。りんごや玉ねぎなどを積極的に食べるだけでなく、市販のオリゴ糖シロップなどを砂糖の代わりに使うことで、摂取量を増やすのもおすすめだ。 ヒト細菌叢解析の専門家で岡山大学大学院教授の森田英利さんは、腸内環境を整えるには、ビタミンの摂取も重要だと話す。「腸内細菌がバランスよく維持されるためには、プレバイオティクスだけでなく、ビタミンも必要です。腸内細菌の中には、生育にビタミンを要求するものがあります。それらの細菌は自分でビタミンをつくり出すことができないので、食事から摂取する必要があるのです」(森田さん) 食材を加熱する際は、栄養素を逃しにくい蒸し調理が最適。だが、電子レンジは使わない方がいい。「電子レンジで加熱すると高温になりすぎるので、栄養素が壊れます。また、鍋でゆでるとビタミンの2割が失われる。一方、蒸し器を使えばビタミンが減らず、ポリフェノールは1.6倍に増えるということがわかっています」(下川さん・以下同)運動すると“アスリート菌”が増える!? いくら納豆やぬか漬けを食べて菌を入れても、受け入れる腸の環境が悪くては意味がないと、下川さんは言う。取り入れた菌を育て、活動を妨げないのが、本当の菌活だ。「赤身肉を頻繁に食べる人は、腸内の善玉菌が減りやすく、悪玉菌が増えやすい傾向にあることがわかっています。合成甘味料や酸化防止剤も悪玉菌を増やすので避けた方がいいでしょう。また、運動不足によって筋肉量が低下すると、腸のぜん動運動がにぶって、便秘の原因になります。さらに、睡眠不足や過度のストレスは自律神経のバランスを乱し、腸内環境を悪化させます」 運動と腸内細菌の関係は少しずつ明らかになってきており、トップアスリートの腸に多くみられる「アッカーマンシア菌」が注目を集めているという。「アッカーマンシア菌は、酪酸をつくり、体脂肪率を下げて肥満防止に役立ちます。また、激しいスポーツなどによる体内の炎症を修復する作用もあり、特にプロラグビー選手の腸に多いことがわかっています」(森田さん) その一方で“長寿の島”奄美群島の高齢者の腸内にも多いことがわかり、森田さんらは研究を進めている。奄美群島の人々は高齢でも自活して日常的に体を動かす機会が多いことからも、アッカーマンシア菌と運動にはなんらかの密接な関係があるとみている。その一方で、運動不足や猫背は「下がり腸」を招くと、小野さんは言う。「便秘や下痢など、腸の不調を訴える人の半数近くが、腸が下がっています。原因は、筋肉量の低下や便の重みによるものなどさまざま。ひとたび下がり腸になると、腸の機能が少しずつ低下していき、腸内細菌の活動も次第に悪くなっていきます」(小野さん・以下同) 小野さんは、大腸の詰まりを解消し、下がり腸の改善に役立つマッサージを考案。別掲のイラストを参考に、毎日朝食後にやってみてほしい。「朝食をとってから、少し時間をおいて行い、その後トイレに行くのがベストです。毎日行うことでぜん動運動が活発になり、少しずつ腸が整ってくるのがわかるはずです」 下川さんは「森林浴」も菌活になると話す。「多くの菌を空気中から取り入れることも、有効な菌活の手段なのです。森の中の空気と都会のオフィス街では、菌の種類に何百倍もの差があるので、自然が豊かな場所に行く時間をできるだけつくるといいでしょう。時間がなければ広い公園でもいいし、部屋の中にグリーンを入れるだけでもいい」(下川さん)※女性セブン2022年5月12・19日号
2022.05.01 19:00
女性セブン
(写真/Getty Images)
身近な薬が不調を招く可能性 風邪薬で認知機能低下、糖尿病薬で肝機能障害も
 病気を治してくれるはずの薬がかえって体を蝕んでいる──日進月歩の医学界だがそんな皮肉な現実が存在する。頭痛やふらつき、認知機能の低下、高血圧……。「病気かも」と思う前にまず疑ってほしい、あなたがのんだその一粒の副作用。 身近な薬が体調不良の原因であるケースは珍しくない。在宅医療で患者と向き合いながら減薬に取り組む、たかせクリニック理事長の高瀬義昌さんは、風邪薬が認知機能の低下を招くことがあると指摘する。「市販の総合感冒薬や花粉症の薬に配合されている『抗ヒスタミン薬』の副作用がそれに該当します。特に高齢者の場合は症状として表れやすく、容量を守っていても頭がぼんやりしてしまうことが多い。市販で誰でも気軽に手に入れることができる薬だからこそ注意が必要です」 ナビタスクリニック川崎の内科医・谷本哲也さんは、せき止め薬のリスクを指摘する。「せき止め薬に含まれる『コデインリン酸塩水和物』には副作用として便秘や排尿障害が報告されています。健康体の人ならばほとんど問題になりませんが、慢性的な便秘や前立腺肥大症を抱えていれば、さらにひどい状態になる恐れがあるうえ、それがのんでいるせき止め薬のせいだと気がつくのは難しい。悪化して腸閉塞を発症するケースすらあります」 70代以上の女性の過半数がのんでいるとされる降圧剤も、副作用として不調が表れる事例は少なくない。松田医院和漢堂院長で日本初の「薬やめる科」を開設した松田史彦さんはいう。「副作用に気がつかないまま年単位で薬をのみ続ける人もいます。たとえば『何年も歯茎の腫れに悩んでいる』と来院した70才男性がいましたが、診察してみると口腔内に異常はない。しかし副作用として歯茎の腫れが報告されているカルシウム拮抗剤の『ニフェジピン』を長年にわたって服用していた。試しに薬をやめてみるとすぐに腫れはおさまりました」(松田さん) 降圧剤と並んで閉経後の女性の服用率が高いコレステロールの薬にも注意すべき副作用がある。「代表的な抗コレステロール薬であるスタチン製剤の一種『アトルバスタチンカルシウム水和物』をのみはじめた50代の患者が、就寝時に悪い夢を見てうなされるようになったと悩んでいました。まさかと思い調べてみると副作用欄に『悪夢』と書かれていた。処方をやめたら症状も消えました」(松田さん) 悪夢はまれなケースだが、スタチン製剤にはほかにもいくつかの副作用が報告されており、最も代表的なのは、筋肉がダメージを受けてひどくなると、呼吸困難の恐れすらある「横紋筋融解症」だ。「軽ければ肩こりや筋肉痛程度の症状であるため、気づかないままのみ続ける人も多いです。しかし重症化すれば命の危険がある重篤な状態を引き起こすケースもあります」(松田さん) 副作用が命にかかわる可能性を持つ薬はほかにもある。長澤さんは糖尿病の薬の危険性を指摘する。「糖尿病治療薬の『メトホルミン塩酸塩』は肝機能障害を引き起こす副作用があります。肝臓には痛みを感じる神経がなく初期は無症状のため、いつの間にか臓器が破壊され、気づいたときには手遅れで亡くなってしまう人もいます」 症状を抑えるために服用したはずの薬で病気が悪化する恐ろしい事例もある。「慢性的な胃痛を抱え、胃腸内科で胃液の分泌を減らして胃痛を取る『プロトンポンプ阻害薬』を処方されて10年以上ものんでいる患者がいました。しかし症状は一向によくならず、そればかりか胃に大量のポリープができてしまった。にもかかわらず担当医からは大丈夫だと言われ、定期的に胃カメラをする以外は何の対処もされなかったそうです。 にっちもさっちもいかなくなり当院で診察したところ、ポリープの原因は薬による過剰な胃液の分泌の抑制であると判断し、すぐに服用の中止を指示して、漢方と重曹に切り替えました。すると6か月でほぼすべてのポリープが消えました」(松田さん) 高瀬さんは、胃薬が認知機能の低下を招く可能性を指摘する。「胃薬の『H2受容体拮抗薬』は、胃酸の分泌を抑えて胃痛を取る『抗ヒスタミン薬』の一種です。ですが高齢者がのむと、せん妄や認知機能の低下のリスクが高くなることが報告されています。実際に抗ヒスタミン薬でせん妄が生じて錯乱状態になり、1日20回も病院に電話をかけてきた患者が、薬をやめたら平常の状態に戻ったケースもあります」※女性セブン2022年5月5日号
2022.04.26 11:00
女性セブン
(写真/アフロ)
ダイエット成功のカギは「いかに足すか」 常備すべき食品&スパイスとは
「ダイエット中だから、一食抜こう」「いつものメニューから一品少なくしよう」──よかれと思った行動が、あなたを太らせる。いま、やせる体を作れるカギは、いかに「足す」か。この夏は堂々とノースリーブや水着を着たいあなたに送る、常備すべき食品&スパイスのリストをお届けする。 コートを脱いで、シャツやトレーナー1枚で出かけられる季節がやってきた。しかし、ウキウキしながら外に出たものの、ショーウインドーに映った自分の姿に愕然としたという声は少なくない。実際、製薬会社のピップが2022年3月に発表した調査によれば、約6割の女性が冬を経て体重が増加したと感じているという。 ノースリーブで過ごす夏になるまでにやせたい──その一念でいまからダイエットを始める人は多いが、やり方を間違えればさらに体重を増やす結果になりかねない。秋葉原駅クリニック医師の佐々木欧さんが言う。「散見されるのは、極端な食事制限をして失敗するケースです。“食べてはいけない”という制約と強い空腹感がストレスを生み、長続きしないどころか過食の原因になることすらある。大切なのはむしろ、体にいい食品を選んでしっかり食べること。普段の食事内容を見直し、足りない栄養素を足したり置き換えたりすることがダイエット成功の鍵を握るのです」 これまで1000人以上を減量に導いてきた長野松代総合病院消化器内科・ダイエット科部長の前川智さんもこう指摘する。「肥満や糖尿病に悩む人の食生活を数多く見てきましたが、減量に成功するのは、やせやすい食品をうまく食卓に取り入れることができたとき。私が行っている食事療法でも効果的な食材の“ちょい足し”を実践しています」 では、どんな食品をどう加えればスムーズにやせることができるのか見ていこう。【以下、20人の「食と健康の専門家」に「ダイエットに最適なちょい足し食品」を挙げてもらい、1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として集計。5点以上を獲得した食品を掲載した。 浅野まみこさん(管理栄養士)、石原新菜さん(イシハラクリニック副院長)、磯村優貴恵さん(管理栄養士)、市野さおりさん(看護師/アロマセラピスト)、大平美弥さん(スパイスライフアドバイザー)、金丸絵里加さん(管理栄養士)、岸村康代さん(フードプランナー/管理栄養士)、工藤孝文さん(みやま市工藤内科院長)、黒田愛美さん(医師/アスリート)、佐々木欧さん(秋葉原駅クリニック医師)、清水加奈子さん(管理栄養士)、高橋怜奈さん(東邦大学医療センター大橋病院婦人科医)、田中亜希子さん(あきこクリニック院長)、田中優子さん(田中病院院長)、中沢るみさん(管理栄養士)、福田千晶さん(医学博士)、藤岡智子さん(栄養士/フードライター)、前川智さん(長野松代総合病院消化器内科・ダイエット科部長)、矢澤一良さん(早稲田大学 ナノ・ライフ創新研究機構規範科学総合研究所)、渡辺信幸さん(こくらクリニック院長)】カプサイシンで脂肪が消える 最も多くの票を集めた「とうがらし」とそれに続いた「しょうが」はいずれも体を温める食品として知られている。みやま市工藤内科院長の工藤孝文さんが言う。「無理なくやせるための近道は、体を温めて脂肪を燃焼させること。脂肪は体温を保持する断熱材の役割も果たしているため、体が冷えるほど脂肪がつきやすくなり、やせにくくなります。つまり、毎日こまめに体を温める食材を摂取し、冷えないようにすることが重要なのです」 スパイスライフアドバイザーの大平美弥さんは、とうがらしが持つ辛み成分の強い保温効果に一票を投じた。「『カプサイシン』と呼ばれる辛み成分は、交感神経に働きかけ、アドレナリンを分泌させて血流を促します。その効能は強力で、発汗するほど体を温め、脂肪を燃焼させてくれる。血流が改善された結果、肩こりや冷え症が解消されるケースも多い。特に冷えやすい女性は積極的に摂りたい一品です」 2位のしょうがは辛み成分である「ショウガオール」に加え、さまざまな栄養素がバランスよく含まれていることが票を集めた主な理由となった。栄養士でフードライターの藤岡智子さんが言う。「骨粗しょう症の予防や精神を安定させる役割を持つカルシウムや、体内の余分な塩分を排出する働きのあるカリウムが含まれています。そのまま食べるのはもちろん、すりおろして冷や奴にのせたり、みそ汁に加えたりと普段の食事に取り入れやすい食品であることも推奨ポイントです」 しょうがと同様、5位と11位にランクインした「めかぶ」や「とろろ昆布」にも、使い勝手のよさを称賛する声が多く上がった。「これら海藻類はみそ汁やスープ、酢の物など普段の食卓に一品足しやすい優れたダイエット食品。海藻に含まれるネバネバ成分の『フコイダン』は糖質の吸収をゆるやかにし、血糖値の急激な上昇を抑える働きや、肥満の原因にもなる余分なコレステロールを排出したり、腸内環境を整えて便秘を解消したりする効果があります。 特にめかぶは、海藻類のなかでもカルシウムやマグネシウムが豊富で、ミネラル補給にも最適です」(管理栄養士の金丸絵里加さん)たんぱく質なら植物性か豚肉 やせやすい体を作るうえで体を温めることと同じくらい専門家たちが重要視しているのはたんぱく質の摂取だ。「脂肪を減らすうえで不可欠なのは、筋肉をつけて代謝を上げること。そのためには運動をするだけではなく、筋肉のもととなるたんぱく質をしっかり摂る必要があります」(佐々木さん) 前出の前川さんが推奨するのはたんぱく質のなかでも動物性と植物性のものをバランスよく摂取すること。「肥満や糖尿病で来院する人の食事内容を見直すと、そのほとんどが過剰に糖質を摂っています。糖質制限は非常に有効ですが、糖質を摂らないぶん、たんぱく質を摂取するために肉食に偏る人が多い。しかし肉には脂質も多いため、悪玉コレステロール値が上昇するケースもあります。実際にダイエットに成功した患者の多くは糖質を減らし、そのぶん植物性たんぱく質を足す食事を実践していました」 豆腐やおからパウダーなどさまざまな植物性たんぱく質がランクインしたが、最も票を集めたのは4位の「オートミール」だった。オーツ麦を原材料とし、食後血糖値が上昇しにくい「低GI食品」として注目を集めている。イシハラクリニック副院長の石原新菜さんは炭水化物をオートミールに置き換えることで太りにくい体を手に入れたという。「パスタやご飯の代わりにオートミールを食べることで血糖値の急上昇が防げるのはもちろん、原材料のオーツ麦には食物繊維が豊富なためお通じがよくなり、腸内環境も整って免疫力アップにもつながります。栄養バランスもよく、ビタミンやミネラルに加え、ダイエット中に不足しがちなカルシウムや鉄分をしっかり摂ることができるのも利点です」 藤岡さんはヨーグルトやスープにちょい足しすることを推奨する。「味にくせがないため、いろいろな食材に足せるのは大きな推奨ポイントです。小腹が空いたときにプレーンヨーグルトやカップスープに入れて食べれば満腹感が得られて食べすぎ防止につながります」 7位に入った「おからパウダー」も、さまざまな食品と組み合わせられる使い勝手のいい植物性たんぱく質だ。「たんぱく質はもちろん、食物繊維がとにかく豊富で、その量は大さじ2杯(約10g)でレタス1玉分に相当するといわれています。おからパウダーをヨーグルトに混ぜて食べれば、発酵食品による整腸作用との相乗効果が期待できるので、ぜひ実践してみてほしい」(佐々木さん) 動物性のたんぱく質もバランスよく取り入れればダイエットの強い味方になる。管理栄養士の浅野まみこさんはビタミンB1を理由に豚肉に一票を投じた。「ビタミンB1は炭水化物を代謝するために必要な栄養素。ご飯のお供に最適です。ただし、脂の多いものを選んでしまえば脂質の摂りすぎにつながるため、注意が必要です」酢とスパイスを総動員する 今回のランキングの特徴は、酢やこしょう、カレー粉といった調味料やスパイスも多数ランクインしていること。特に3位にランクインした「酢」は、主成分の酢酸が持つ健康効果の高さから、「常備すべし」と主張する専門家が多かった。管理栄養士の中沢るみさんが言う。「酢酸には、血糖値や血中コレステロール値を下げる働きがあります。つまりお酢を使った料理を最初に食べることで血糖値の上昇を抑え、脂肪が燃焼しやすい体を作ることができる。調味料として使うほか、りんご酢のような果実酢を水で薄めたビネガードリンクを取り入れるのもおすすめです」 ただし、種類によっては大量の砂糖や人工甘味料が入ったビネガードリンクや、塩分や添加物が入り交じった合成酢など、かえって健康を害するものもある。食品表示をしっかり見て選んでほしい。 酢とともに食卓に取り入れたいのは6位の「カレー粉」や7位の「こしょう」、11位の「クミン」などのスパイスだ。管理栄養士の磯村優貴恵さんはスパイスをちょい足しすることでむくみ予防になると話す。「スパイスは体を温めて血の巡りをよくするだけでなく、独特の風味や香りによって減塩にも役立ちます。肥満の大きな原因の1つであるむくみは塩分の過剰摂取によって起きるケースが多いため、スパイスを駆使して塩分を控えることをおすすめします。特にカレー粉はトーストや炒め物、煮物、スープなどあらゆる場面で使うことができます」 料理だけでなく、飲み物へのちょい足しを推奨するのは看護師でアロマセラピストの市野さおりさんだ。「特におすすめなのは少量のスパイスに白湯50〜100mlを加えて作る『スパイス白湯』です。朝起きてから朝食までの間など、空腹時に飲むのが効果的です。食べ物が入っておらず空っぽの小腸や大腸壁はスパイスの健康成分をスムーズに吸収し、体内の活動を活発化させます。 体温を上げて脂肪燃焼につながるのはもちろん、クミンなら便秘解消、シナモンなら冷え症や肌のくすみの改善などスパイスの持つさまざまな効能を実感できます。小腹が空いたときには、ターメリックに牛乳や豆乳を混ぜ合わせ、電子レンジで温めてはちみつをひとさじ垂らす『ターメリックホットミルク』も試してみてほしい。内臓を温めて代謝を上げる効果があるうえ、満腹感も得られます」“足しすぎ”が肥満体を作る ランキングを参考に、冷蔵庫にちょい足し用の食品やスパイスを常備してみてほしい。しかし、“足しすぎ”には要注意だ。「ランキング内の食品を普段のメニューに足しつつ、慣れてきたら炭水化物や脂質の量を徐々に減らしていくことを目標に調節しましょう。また、とうがらしやこしょうなど、ちょい足し食品には刺激の強いものも多いので、摂りすぎには要注意。体調の変化に気を配りながら行ってください」(佐々木さん) あきこクリニック院長の田中亜希子さんも、声を揃える。「確かにやせやすい食品を足すことは大切ですが、そもそも多くの人は食べすぎている。実際に自分が“何を、どれだけ食べたか”を書き出してみると、思っている以上に食べていたことに気づくはず。まずは摂りすぎを見直して減らしつつ、“ちょい足し”を実践するのがいいでしょう」 いつもの食事を見直して上手に足し引きをし、 “薄着の夏”に備えよう。写真/アフロ、ゲッティイメージズ、ピクスタ※女性セブン2022年4月21日号
2022.04.08 16:00
女性セブン
夜尿症の原因は?(イラスト/いかわ やすとし)
親が悩む子供の「夜尿症」は病気 適切な治療法で改善を目指す
 子供の6%、約80万人が夜尿症で、一部では躾の問題だとする風潮もあるが、れっきとした病気だ。主な原因は尿を濃くするホルモンの分泌低下や過活動膀胱、覚醒障害だが、早期の治療で治る。 2021年、5年ぶりにガイドラインが改訂され、昼間の“おもらし”の記載が追加された。また夜尿症と慢性便秘との関連も記されており、便秘治療で夜尿症が改善した例も多い。 子供の成長に応じて排尿機能は成熟する。0~2歳児は膀胱に尿が溜まると排出する反射的排尿を行なう。2~4歳児になると尿意を伝えられるようになり、このタイミングでトイレ・トレーニングを開始する。それが5歳になっても“おもらし”する場合は夜尿症を疑う。 夜尿症の定義は5歳児以降で、1か月に1回以上の夜尿が3か月以上続くものとされ、6~7歳児で10人に1人、13歳で100人に1人が夜尿症と推計されている。 東京慈恵会医科大学附属病院小児科の平野大志医師に詳しく聞いた。「夜尿症は、お母さんの子育てが悪いからと責められ、辛い思いをしている方もいます。しかし、夜尿症は病気で躾の問題ではありません。夜尿症を起こす原因は3つ。その原因が単独、または複数重なり起こると考えられています」 原因の1つ目は尿を濃くする利尿ホルモン(ADH)の分泌低下により、夜間の尿を濃くできないこと。尿は血液中の老廃物や水分が集まったもので、膀胱に溜まり、排出される。夜間も老廃物や水分が集積するが、ホルモンの分泌が低下すると濃縮できない。その結果、膀胱が水でいっぱいになり、漏らしてしまう。 2つ目は膀胱に尿を溜められず、過活動膀胱と似たような状態になること。尿は濃いが、膀胱の排尿を司る神経が不安定となり、溜まっていないのに漏らす。 3つ目は覚醒障害。人間は深い眠りと浅い眠りを繰り返している。夜尿症がない子供は明け方になると眠りが浅くなり、尿意を感じれば、目を覚ます。一方、夜尿症の子供は睡眠のリズムが崩れていて、本来は眠りが浅くなる明け方に深くなってしまい、尿意を感じても、目覚めずに漏らしてしまうのだ。「ほっといても、年間15%は治癒します。それでも治療することで、早期の改善が期待できます。治療の第1選択は尿を濃くするホルモンに似た成分を補充するタブレット服薬ですが、他にアラーム療法もあります。この療法の作用機序はまだ明らかではありませんが、効果は認められています。具体的にはオムツに水濡れセンサーを取り付け、少しでも漏れるとブザーが鳴るので子供を起こし、排尿させるのです。平均6週間継続すると効果がでます。ただ親の負担が大きいのか、途中で止めるケースがあり、問題となっています」(平野医師) 今は慢性便秘と夜尿症の関連も明らかになっている。子供の便秘は腹痛を伴わないことが多く、親も本人も気づきにくい。ともあれ、お子さんや、お孫さんの夜尿症が気になる方は専門医に相談を。取材・構成/岩城レイ子※週刊ポスト2022年3月11日号
2022.03.04 16:00
週刊ポスト
写真/アフロ
炭水化物の中では太りにくいパスタ 水溶性食物繊維が豊富で便秘にも◎
 新たな年がスタートし、心機一転。2022年はすっきり“デトックス”して過ごしたいという人は多いはずだ。「デトックス」と聞いて思い浮かぶのは、やはり便秘の改善。腸内環境を整えるためにはまず、腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスを整える「プロバイオティクス」を摂取することだ。恵比寿形成外科・美容クリニック院長の西嶌順子さんはいう。「いわゆる『善玉菌』と呼ばれる、乳酸菌やビフィズス菌、酪酸菌が多い食べ物のことです。ヨーグルト、納豆、キムチ、みそ、ぬか漬け、チーズといった発酵食品が代表的です」(西嶌さん) それと同時に摂取してほしいのが、善玉菌のえさになって相乗効果を生む「プレバイオティクス」で、これは食物繊維やオリゴ糖を指す。食物繊維には、ごぼうやきのこ、枝豆などに多い「不溶性」と、海藻類や大麦などに多い「水溶性」の2種類があり、これも偏りなく摂取した方がいい。管理栄養士の菊池真由子さんはいう。「不溶性食物繊維は、腸内の老廃物や水分を集めて便のかさを増して腸を刺激する“ほうき”のような役割を果たす一方で、水溶性食物繊維は腸内の水分を吸収してドロドロのゲル状になり、便を軟らかく排出しやすくする“洗剤”のような役割を担っています。モロヘイヤやブロッコリーには、不溶性と水溶性の両方の食物繊維が豊富です」(菊池さん・以下同) 食物繊維は、米や麺などの炭水化物にも豊富だ。なかでも、水溶性食物繊維が多いのは、意外にもパスタだという。「パスタは太りやすい食べ物だと思われがちですが、実は炭水化物の中では比較的太りにくい。1食分に含まれる量を計算すると、ご飯1膳(約150g)あたりに含まれる水溶性食物繊維が2.3g、うどん1杯(約200g)で2.6g、食パン1枚(5枚切りで約70g)で3gなのに対し、パスタ1人前(乾麺で100g)に含まれる水溶性食物繊維は5.4gと、倍近い量なのです」 市販のソースの添加物や、小麦そのものに含まれるアレルギー性物質のリスクがないわけではないため、食べ方や頻度には注意が必要。だが少なくとも、ダイエットには心強い味方になりそうだ。※女性セブン2022年1月20・27日号
2022.01.17 16:00
女性セブン
ステージIVの大腸がんを患いながら、23才で娘を出産した(2020年7月。写真提供/遠藤和さん)
ステージIVのママも生前「早期発見には動くこと」 女性の大腸がんとは?
 21才で大腸がんステージIVを宣告された遠藤和(のどか)さん(享年24)。彼女は生前「早期発見のために動くことが大事」と発信していた。女性にとって全がんの中で最も死亡者が多い大腸がんを、少しでも遠ざけるために知っておくべきこと──。 2021年9月、約3年間の大腸がんとの闘病の末、旅立った遠藤和さん。彼女が娘のために遺した日記をまとめた書籍『ママがもうこの世界にいなくても』が12月1日に上梓された。《私は最初、誰にも言わなかった。ただときどき、お腹が痛かっただけだし、ずっと続くわけでもなく、しばらく我慢すれば痛みは治まったから。でも、1年も続けば、何かおかしいと思う。》(以下、《 》内は同書からの引用) 和さんは18才頃から、たびたび激しい腹痛に襲われていた。《いつも、みぞおちの左側のところ。前ぶれなく、いきなりガツンと強い痛み。時間が経つと、徐々に治まっていく。》 ところが、病院での診断結果は、いずれもはっきりとしたものではなかった。《つらそうな私の様子を見て、母は胃腸科を提案してくれた。先生に診てもらった。整腸剤が処方された。しばらく我慢した。状態は変わらなかった。アレルギーに詳しい先生にも診てもらった。どこも悪くないし、アレルギーもないと言われた。私はまた、しばらく我慢しようと思った。「もし今度、痛くなったら、一緒に婦人科へ行こうね」 母からそう言われた矢先、ものすごい激痛に襲われて病院に運ばれた。緊急手術を受けて、採取した組織は病理検査に回す、と説明された。》 和さんがステージIVの大腸がんだと診断されたのは、21才のとき。最初に違和感を覚えたときから3年が経っていた。和さんが闘った大腸がんは、一体どんな病気なのか。日常茶飯事だから見逃しやすい 最新の国立がん研究センターのデータによると、女性の大腸がんの年間罹患数は、乳がんに続く第2位で、6万5840人。死亡数では1位で、2万4004人だった。また、同センターの最新予測によれば、2021年に大腸がんで命を落とす人は2.5万人を超えるとされ、第2位の肺がんとは3000人以上も差がある。 もともと腸が弱く、便秘や腸炎を起こしやすい人は高リスクとされる。潰瘍性大腸炎を抱える人も該当する。 また、家族や親戚に大腸がんの経験者がいる人は要注意のようだ。聖マリアンナ医科大学臨床腫瘍学講座教授の砂川優さんの解説。「大腸がんの罹患には遺伝的要因のほか、食べ物の好みなど生活習慣が似ているので、家族集積性があるとされます。大腸がん患者のうち、既往歴を持つ家族がいる人は全体の25%にも上ります」 若年層でも大腸がんになるリスクがある遺伝性の腫瘍「リンチ症候群」や、腸に多数のポリープができる「家族性大腸腺腫症」などの遺伝性大腸がんは5%ほどとされる。 近親者に大腸がん経験者がいないからといって安心というわけではない。福岡大学医学部消化器外科教授の長谷川傑さんが話す。「肥満や糖尿病を抱えている人、喫煙している人は大腸がんのリスクが高まるという研究結果が出ています。海外では運動不足の人が罹患しやすいという報告もありました」 男性の大腸がんが、罹患数、死亡数ともに全がん中で3位であるのに対し、前述のように、女性の大腸がんは罹患数2位、死亡数1位。なぜ、女性の大腸がんが多く、しかも深刻化するのか。「女性にとって腹痛は身近な症状ですよね。若い頃から便秘の人も多いですし、胃腸とは別に、生理痛など婦人科系の痛みを抱える人もいます。腹痛は日常茶飯事だから見逃しやすいという部分は、少なからずあるでしょう。 また、過度なダイエットをしてしまう女性や、デスクワークばかりであまり動かない女性が一定数いるということもあると思います」(長谷川さん) ただ、若い女性が大腸がんに罹患することは珍しいという。長谷川さんが続ける。「大腸がんの発症は、だいたい40才くらいから増え始め、ピークは70才くらい。ですから、21才という若さで宣告をされた遠藤さんは、とても珍しい。私の病院では年間200?300人が大腸がんの手術を受けますが、そのうちAYA世代は数人程度。割合でいえば数%の少なさです」 AYA世代とは「思春期・若年成人」を指す英略語で15?39才の世代を指す。学業や就職、結婚、出産などのライフイベントが重なる時期であることから、病気が人生に及ぼす影響が大きくなりやすい。※女性セブン2022年1月1日号
2021.12.11 16:00
女性セブン
「便秘外来」を開設する松生クリニック院長の松生恒夫医師
便秘外来を開設する内科医があまり飲みたがらない便秘治療薬とは
 不調を感じて病院を受診した際に、「とりあえず薬を出しましょう」と言われた経験を持つ人は多いのではないか。このような“とりあえず”の処方には注意が必要だ。薬には症状を緩和する効能などのメリットだけでなく、別の症状が生じる副作用もある。“とりあえず”で処方した結果、大きな副作用に悩まされるケースもあるのだ。 また、“とりあえず”の処方を重ねた結果「多剤併用」となってしまうことも考えられる。多剤併用は身体への負担も大きく、薬を減らしたいと考えている人も多いはず。だが、患者自身の判断で安易にやめる薬を決めるのは、現在の症状の悪化を招きかねず危険だ。 そこで普段、患者に薬を処方する立場にある医師に、「飲みたくない薬」「飲まない薬」を聞いた。「便秘外来」を開設する松生クリニック院長の松生恒夫医師(内科医)が、自らは服用を避けたいというのが、アントラキノン系の便秘治療薬だ。「センナやダイオウなどアントラキノン系の下剤はあまり飲みたくないです。一時的に飲むのは問題ないし、妊婦さんも飲める安全な薬ですが、1年以上に及ぶような長期の服用により、大腸の粘膜が黒く変色する大腸メラノーシス(大腸黒皮症)が出現することがあります。 便秘状態をさらに悪化させる可能性が指摘されており、下剤の常用が腸管運動を低下させ、さらに下剤の量が増える“下剤依存症”を生んでしまいます。日本の市販されている下剤の7割はアントラキノン系の下剤ですが、私なら、酸化マグネシウムを選びます」 また、向精神薬SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)も注意が必要だと言う。「このタイプの薬は便秘を引き起こす可能性があります。便秘外来の患者さんでSSRIを飲んでいる方には精神科の先生と相談して慎重に決めてもらうようにしています」※週刊ポスト2021年12月17日号
2021.12.09 19:00
週刊ポスト
正月太り(写真/PIXTA)
食と健康の専門家が選ぶ正月太りを撃退する食品 納豆、きのこ類など
 おせちは2割増し、クリスマスケーキは5割増し──年末年始を彩る“ごちそう需要”が増加している。コンビニで予約できるリーズナブルなものから老舗ホテルが手がけるラグジュアリーな逸品までさまざまだが、新型コロナの影響で海外旅行が難しいうえ、長らく外食を控えてきたいま、おいしいものを食べながら新しい年を迎えたいという購入者の気持ちは共通している。 しかしその楽しいひとときが、後に後悔を生む可能性がある。秋葉原駅クリニックの内科医・佐々木欧さんが言う。「お正月休みが明けたら体重が増えてしまう人は毎年非常に多い。ただでさえ冬は、寒さで外出や運動の機会が減ってしまい太りやすい季節です。そのうえに長期の休みで動かずに食べ続けてしまえば、“正月太り”は避けられません」 さらに恐ろしいのは、おせちやお雑煮、ケーキや日本酒など、年末年始の食事には太りやすい食材が多く使われているということ。『ゼロから知りたい! 糖質の教科書』(西東社)の著者で長野松代総合病院消化器内科・ダイエット科部長の前川智さんが解説する。「肥満になるいちばんの原因は、糖質の過剰摂取です。クリスマスケーキやお雑煮に入っている餅、おせちの栗きんとんや黒豆などは糖質がたっぷり。忘年会やお正月に飲む日本酒も同様です。つまり、この時期は自分で食生活に気をつけなければ、すぐに体重が増えてしまいます」 では、どんなものを食べればスリムな体で新しい年を迎えることができるのか。専門家たちの答えを参考にしてほしい。【以下、20人の「食と健康の専門家」に「正月太りを撃退する最強食品」を挙げてもらい、1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として集計。5点以上を獲得した食品を掲載した。磯村優貴恵さん(管理栄養士)、岩田勇樹さん(フィジカルトレーナー)、榎田彩加さん(管理栄養士)、奥谷喜之さん(カラダツクルスクールパーソナルトレーナー)、小倉朋子さん(トータルフードプロデューサー)、金丸絵里加さん(管理栄養士)、菊池真由子さん(管理栄養士)、岸村康代さん(管理栄養士/野菜ソムリエ上級プロ)、桐村里紗さん(認定産業医)、工藤孝文さん(工藤内科副院長)、黒田愛美さん(医師/アスリート)、佐々木欧さん(秋葉原駅クリニック医師)、清水加奈子さん(管理栄養士)、伊達友美さん(ダイエットカウンセラー/管理栄養士)、田中優子さん(医師)、中沢るみさん(管理栄養士)、浜本千恵さん(管理栄養士)、福田千晶さん(医学博士)、前川智さん(長野松代総合病院消化器内科・ダイエット科部長)、榎田彩加さん(管理栄養士)、済陽高穂さん(医師)】やせやすい体は納豆でつくる! 数多の低カロリー食品を抑え、トップに君臨したのは「最強食品」シリーズではもはや殿堂入りともいえる納豆。管理栄養士の榎田彩加さんはその代謝アップ効果に注目する。「納豆が豊富に含む良質のたんぱく質は、筋肉や内臓、ホルモン、酵素など体を構成する要素の材料になる重要な栄養素です。また、たんぱく質が不足すると筋肉が落ちて代謝が悪くなり、太りやすい体になってしまう。加えて代謝を促進するビタミンB群も含まれるため、やせやすい体をつくるためには必須の一品です」(榎田さん) 管理栄養士の岸村康代さんはダイエットの大敵である血糖値を下げる働きを理由に一票を投じた。「食物繊維が豊富な大豆製品には食後の血糖値の上昇を抑える働きがあり、なかでも納豆はとりわけその効果が高い。さらに納豆には腸内環境を整えて便秘を予防する働きも期待できます。また、高たんぱく質で低カロリーなうえ、満腹感を感じやすいのもダイエット向きといえるでしょう」(岸村さん) 血糖値の上昇を抑え、便秘解消効果が見込めるのは3位にランクインした酢も同様だ。佐々木さんが解説する。「酢酸には食後の血糖値の上昇を緩やかにする効果があります。さらに、胃腸を動かして消化機能を高める効果もあり、便秘の改善も期待できる」 佐々木さんによれば、脂肪そのものを減らす働きもあるという。「酢には脂肪を燃焼させる効果があります。実際に、食酢を毎日15ml飲むことで中性脂肪や内臓脂肪が減ったという報告もあります。黒酢や果実酢はアミノ酸が豊富で、栄養価も高いのでおすすめ。原液だと胃や食道を傷めるため希釈して飲みましょう。また、マリネや酢の物、お正月料理としてなじみのあるなますなど、料理から摂るのもいい。 一方で、市販のお酢ドリンクは果糖ブドウ糖液糖がたっぷり含まれているものも多く、要注意。黒酢や果実酢を炭酸水や牛乳で割って飲むのがおすすめです」きのことこんにゃくで満腹感 肥満予防のためには、摂取カロリーを抑えることも必要だ。ランキングにはこんにゃくやきのこ類などカロリーの低い食品が多く登場する。管理栄養士の中沢るみさんはこうした食品を使いこなすことがダイエット成功の鍵になると話す。「こうした低カロリーの食品を先に食べることで満腹感が得られて“ドカ食い”を防げるうえ、インスリンの分泌を抑える効果もあるため、血糖値の急激な上昇も阻止することができます。特におすすめなのは食物繊維がたっぷり入ったこんにゃく。最近は麺やご飯など、こんにゃくを使った置き換え食品も多く開発されています。例えばご飯と一緒に粒こんにゃくを炊くなど、工夫して食べてみてください」 管理栄養士の浜本千恵さんは、低カロリー食品の中でも特にきのこを推奨する。「きのこ類にはとりわけ脂肪燃焼を促すビタミンB2が多く含まれています。便通をよくする水溶性食物繊維も多い。たっぷり食べてほしい食品です」おせち料理は選んで食べよう 低カロリー食品でお腹を満たし、年末年始のごちそうは“おいしいものを少しだけ”がダイエット成功の鍵のようだ。しかしその際、食べる量を減らしすぎるのも逆効果となる。管理栄養士の金丸絵里加さんはこう注意を促す。「正月太り対策には食べる量を減らす“減食”もポイントになりますが、ただ減らすだけでは栄養バランスが崩れ、結果的に免疫力や筋力の低下を招き、代謝も落ちるし何より健康でなくなる。スリムな体は健やかな心身あってのもの。大切なのは、余分なものは減らしながら、体に必要な栄養素はきちんと摂ることです。 ランキングに入っている食品に加え、ビタミンや食物繊維、ミネラルが豊富な野菜は積極的に食べてほしい。特にこの時期の旬である小松菜や春菊などの青菜類や、白菜やねぎなどの淡色野菜は栄養価も高くおすすめです」 食事の際に食べるものをある程度選別することも大切だと話すのは前川さんだ。「例えばおせちの中では、数の子やえびは糖質が少なくたんぱく質も豊富なため多めに食べ、甘いものは糖質が多いので控える。鍋物も低糖質食で糖質制限にうってつけだが、シメにうどんや雑炊をするとその意味を失います。自身で食事内容をコントロールできるようになれば無理なくやせることができます。また、煮しめや筑前煮などを作るときに、砂糖の代わりにラカントSなど低糖質の甘味料を使うのもいいでしょう」 長期休みのうえにイベントも多いこの時期は、つい夜更かししたり生活リズムを乱してしまったりしがちだが、佐々木さんはそんなときこそ生活習慣を整えることが大切だと強調する。「新年は気持ちも新たに、生活習慣を見直すいいチャンスです。食事ももちろん、散歩やストレッチ運動など、無理なく毎日続けられる運動を始めてみてほしい」 一年の計は元旦にあり。最強食品ランキングを片手に、健康でスリムな体を手に入れよう。※女性セブン2021年12月16日号
2021.12.04 16:00
女性セブン
アイチ・森下安道伝 トランプタワーを買った男は漁師の末っ子として生まれた
アイチ・森下安道伝 トランプタワーを買った男は漁師の末っ子として生まれた
【連載『バブルの王様』第2回】バブル期に貸付総額1兆円を超える大手ノンバンク「アイチ」を率いて、取り立ての厳しさから「マムシ」と恐れられた森下安道氏。その原点は、社名にある愛知にあった。『バブルの王様 アイチ森下安道伝』第2回、ノンフィクション作家・森功氏がレポートする。(文中敬称略)【写真】取り立ての厳しさから「マムシ」と呼ばれた森下安道氏 * * *田園調布の自宅の寝室は120畳 森下安道が身体の不調を訴え始めたのは、2016年の夏頃だったように記憶している。 「あまりきれいな話じゃないけど、便がずっと出なくて困っているんだ。だから食事もろくにできないし、食べたくもないんだよ。いくつも病院を回っていっぱい検査しました。けど、原因がわからない。もう歳だから、あちこちガタがきてるんですな」  森下が最後に経営していた東京・銀座の画廊「MK1」を訪ねると、そう話していたことを思い出す。そのあたりから病院通いが始まり、なかなか体調が戻らなかったようだ。2018年11月に本人に会ったときの取材メモをめくると、苦り切った表情を浮かべていた。 「最近とくに調子が悪くてさ、病院通いはもう、2年になります。毎週、毎週、最低でも2回は医者に診てもらっているから、仕事にならない。順天堂や東京医療センター、愛知医科大学、慶應病院と移りましてね。どこの先生も一生懸命やってくれる。だけど、全然よくならない。結局、どこが悪いかわからないんだね」  その頃、便秘は改善されていたようだったが、ほかに異変が生じていたという。自分自身の頭を指さして言った。 「便秘もあったけど、治りかけているんだよ。そしたら、今度はこっちに来ちゃった。頭痛が酷くてね。頭のことに関しては三井記念病院が日本一だって聞いたから、行くと『脳腫瘍だから、すぐ切らなきゃ駄目だ』って言う。切るのは嫌だから『ノー』って3か月ぐらい引っ張っていたんです。結局、『手術は2時間で終わるから、どうしても切らせてくれ』というので、仕方なく1泊入院してね。1泊4万近くとられたけど、それからますます調子が悪くなっちゃったんだ。今日も病院に行ったんだけど、あれは失敗じゃないかね」  やがて森下は週に1度ほどしか「MK1」に出社しなくなる。それも午前中の打ち合わせだけで済ませ、あとは病院と田園調布の自宅を往復しながら、床に伏せるようになった。 ちなみに先週号〈アイチ・森下安道伝 バブル紳士が頼った「マムシが死んだ」〉で自宅2階にある本人の寝室が120畳前後あると書いたが、決して誇張しているわけではない。森下は身長160センチほどの小柄で細身な体形をしていたが、大きな空間を好んだ。それゆえ天井の低いトランプタワーが気に入らなかったともいう。 「将来はここを東京都に寄贈して、大田区美術館として使ってもらおうと思っているんだよ」  森下はベルサイユ宮殿と呼ばれた田園調布の豪邸について、そう語っていた。むろん自らが鬼籍に入ったあとの計画だ。美術館仕様の建築物であるがゆえ、一つ一つの部屋がやたらと広く、柱が少ない。柱の数を減らした上で頑丈な建物にするため、通常より多くの鉄筋を使用している。  建設した当時は3階をサウナ付きの大浴場にし、ゲストを招いて宿泊させていた。浴場はやがて使わなくなり、美術品や洋服を並べるための倉庫にした。建物はどのフロアーも見上げるほど天井が高い。寝室のある2階へ向かうには螺旋階段をくるくる回りながら昇らなければならないが、階段の中心にはヨーロッパから輸入したというガラス張りのエレベーターがある。森下はそれを使って昇り降りしてきた。 そんな文字通りの宮殿のような豪邸で2年近い闘病をしてきた森下が倒れたのは、2021年が明けた1月16日朝のことだ。寝起きにベッドからトイレに立ち、そのまま意識を失ったという。同じフロアーの別室で寝ている夫人が、ドスンという音に気付いて駆け付けた。 「パパ、パパ、いったいどうしたの、大丈夫?」  夫人が声をかけても反応がない。そのまま119番に電話し、森下は意識のないまま救急車で目黒にある独立行政法人国立病院機構「東京医療センター」に運ばれた。すでに危篤状態だった。  東京医療センターは東京都におけるコロナ対策の拠点病院となっており、面会制限が厳しい。 〈新型コロナウイルス感染症の流行に伴い面会の制限等お願いしております〉  ホームページにこう書かれている。家族であっても集中治療室(ICU)の処置や手術後の部屋での面会を制限している。田園調布には夫人と手伝いの家政婦しか住んでいないため、親族たちは各自病院に駆け付けた。だが、ICUのあるロビーに向かえる人数は3人までと制限された。長男と2人の娘だけがガラス越しにICUで処置を受ける父親の姿を見守り、夫人たちは1階の待合室で待機した。 そうして一昼夜が過ぎた。森下は自宅で卒倒してからまる1日経っても意識が戻らなかった。17日夕方5時52分、息が途絶える。死因は敗血症と診断され、その死は取引先にも知らせられなかった。  森下の遺体が田園調布の自宅に戻り、家族が見守るなか、密葬が執りおこなわれた。森下家の菩提寺である愛知県田原市の曹洞宗「医王寺」の住職の小川宏之和尚が急きょ上京して経をあげた。 「息子さんが喪主となり、家族の方々だけで葬儀を執りおこないました。葬儀は(17日に亡くなってから)しばらくあとの24日だったように思います」  住職がそう語ってくれた。森下の生まれ故郷である田原市福江町は、渥美半島の先端に近い。改めてそこを訪ねた。森下家のきょうだいたちの絆はかたい 森下安道は1932(昭和7)年7月27日、父伊作、母さののあいだに生まれた。森下家の歴史をさかのぼると、曾祖父にあたる勝衛門が渥美半島のこの地に住み、息子の仁吉が明治維新後に森下姓を名乗るようになったようだ。伊作は、森下の祖父仁吉と祖母てつのあいだの長男として生まれた。医王寺住職の小川和尚に森下家の親族のことを聞くと、次のように説明してくれた。 「ここらあたりは、昔からどの家でも漁と農業をやっていてね。勝衛門さんもそうだったと思います。半農半漁とでも言やあええんだろうかな。その勝衛門さんの分家が仁吉さんで、森下家の初代になっとるわけだ。仁吉さんの長男が伊作さんだでな。伊作さんの子供はぎょうさんいて、幼くして亡くなった人もおったで。安道さんはその末子なんだな」  森下の生まれ故郷福江町は、東海道新幹線のひかりやこだまが停まるJR豊橋駅から直線距離でおよそ30キロのところに位置する。レンタカーで渥美半島を伊良湖岬に向かって下った。高速道路が整備されていないため、渋滞がなくても1時間以上かかる。渥美半島の海沿いの道中は過疎が進み、次第に車や人通りが少なくなってきた。  太平洋、三河湾、伊勢湾という3つの豊かな漁場に恵まれた伊良湖岬の近海は、一年を通して豊富な魚介類に恵まれている。田原市の「渥美魚市場」には、黒鯛や鯵、鮃や鰈、太刀魚や車エビなど水揚げされた100種類以上の海産物が並ぶ。とりわけ蛸漁が盛んで、この地域の名産となっている。  もっとも町民の暮らしは決して楽ではなかったようだ。今も昔も半農半漁の家が多いのは、漁業だけでは食べていけなかったからだろう。わけても戦前は、貧しさゆえ生まれた子供が幼くして亡くなるケースも珍しくなかった。森下家はそんな貧しい漁村の一家だった。  森下家の菩提寺である曹洞宗医王寺は、福江町からさらに三河湾に向かった海沿いの小中山町にある。森下家の墓誌には、大正時代に一家を襲った不幸が刻まれていた。伊作の長男として生まれた徳三郎は1913(大正2)年4月12日、3歳で亡くなっている。次男の徳松も、その4年後の1917(大正6)年9月9日に他界、享年4と記されている。長女の富子は1歳でこの世を去った。 森下安道は7人きょうだいの末っ子として生まれたと報じた記事もあるが、実際は3人の兄姉が亡くなったあとに生まれた末弟である。したがって伊作、さののあいだの9番目の子供だ。森下家のきょうだいは男5人と女1人の6人が昭和の時代に生き残り、昭和7年生まれの安道が最後に誕生した。  今も福江町に住む安道の従兄弟、森下栄治に会うことができた。栄治は伊作の実弟、武雄の長男だ。こう話した。 「ここらは皆漁をやっとるで、安道さんのお父さんの伊作さんも、うちの親父も同じやった思います。安道さんは小さきときから鰈とか鮃が好きでね。ここらはよう獲れるで、大人になってたまにこっちに帰って来たときも、鰈の煮つけをよう食べとったですよ」  安道の実父伊作は伊良湖漁協の組合長を務めるほど、地元では有名人だったという。もっとも漁をしながら田や畑でコメや野菜作りに精を出していた多くの町民とは暮らし向きがやや異なっていた。伊作はこの地で洋服屋を開業した、と栄治が続ける。 「洋服屋いうても、今みたいに店を構えて客を待つそれではのうてね、洋服やら着物の襦袢やらを仕入れて自転車で一軒一軒回って売り歩く、いわゆる行商だでね。それでどんどん客が増えていって、伊作さんが仕入れを一手に引き受け、うちの親父なんかの親戚を使って商売していたんだで。安道さんは私よりずっと歳が上だから、本人とそんな話をした覚えはありません。けど、親父から聞いたところでは、親父たちは小さい安道さんを自転車のうしろに乗せてここらを走り回っていたらしいだでね」 伊作の始めた洋服屋が「服中屋」である。  安道は1938(昭和13)年4月、福江町にある公立小学昌学校(現・田原市立福江小学校)に入学し、終戦を経て小中学校制度が変わり1947年に設立されたばかりの同市立福江中学を卒業している。小中学生の頃から父親の始めた衣類の行商を手伝ってきた。さらに栄治が解説してくれた。 「服中屋は行商の拠点のようなもんだで、一応、従業員みたいなかたちでうちの親父や伊作さんの息子たちが働いとった。だけど、それはほんの何年かの話でした。いちばん上のお兄さんが、『行商で服を売ってるだけでは駄目だで、自分で店を出す』いうて、福江から出ていって岡崎にある洋服の工場で働き始めたんだ」  徳川家康の生誕地として知られる岡崎市は愛知県の中核都市であり、隣接する豊田市とともに発展してきた。そこで働き口を求めて独立したのが森下勇雄だ。森下家では大正時代に2人の男子が夭折しているため、勇雄は伊作の3男にあたるが、長兄としてきょうだいの面倒を見てきたという。安道も勇雄を頼り、そこから洋服の仕立ての修業を始めた。栄治が言葉を足す。 「勇雄さんは岡崎で洋服店を出し、家を構えていました。3番目の忠雄さんも岡崎でいっしょに洋服屋をやっていたと思います。安道さんはそのお兄さんたちを頼って岡崎に出ていった」 これまでほとんど報じられてこなかったが、森下家のきょうだいたちの絆はかたい。安道には、勇雄や忠雄のほか2人の兄と姉がいる。次兄の房雄はのちに安道が上京し、金融の世界に入ってからもしばらくいっしょだったという。 「2番目のお兄さんもすごい人で、千葉県にお城のような家を建てて、親戚中で評判でした。『千葉へ来てタクシーで名前を言えば連れていってくれる』と言っとったけど、残念ながら俺は行ってねえな。安道さんが愛知から東京に行ったのも、2番目のお兄さんが千葉にいたからでねえかな」  もう一人の4番目の兄は三重県に渡り、不動産業などを始めたようだが、30歳前後で早逝してしまい、姉の豊子はトヨタの幹部社員のもとへ嫁いだ。栄治が述懐する。 「豊子さんはトヨタの人と結婚し、30年ほど前に亡くなりました。旦那さんはよほどのトヨタの重鎮だったんだでねえかな。豊子さんの葬儀は盛大でした。豊田市内の自宅でおこなわれたんだけど、弔問者が多すぎて大変でした。近くの公園に3つもテントを張って、トヨタの関係者と一般の参列者に分けられて大勢が並んでいました。あれっ、どこかで見たことがある人がいるな、と思ったら、章一郎さんと章男さんの二人が並んで弔辞を読んでいましたね」森下家の墓の総工費は25億円 安道の従兄弟、栄治をはじめ福江町民にとって忘れられないのが、伊作の葬儀だという。医王寺の住職、小川和尚がこう振り返った。 「あのときは驚いたでな。届いた花が本堂に入りきらんで困ったんだわ。ここら一帯が生花と花輪だらけになってしもうてね。東京からたくさん有名人が焼香にいらして、大変な騒ぎでした」  安道の父森下伊作が没したのは、1985(昭和60)年6月19日のことだ。奇しくも安道と同じ享年88だった。すでに末子の安道が金融業「アイチ」を軌道に乗せ、巨万の富を築いていた。伊作を東京に呼び寄せて父親にアイチの社長の肩書を与え、自らは会長に就いていた。  アイチ社長として物故した伊作の告別式に寄せられた花は、あまりに多すぎて本堂どころか寺の境内にもおさまらなかった。この日は田原市はもとより、愛知県内の樒や生花が消えたといわれたほどだ。仕方なく告別式の花は、実に医王寺の門から延々2キロメートルほど道路わきに並べられた。参列者はむろん、町の住民が目を見張った。従兄弟の栄治は今もその異様な光景を鮮明に覚えているという。 「ここはやっぱり田舎なもんで、葬儀場もないから告別式は寺でやるしかない。といっても花の注文の数が多すぎて寺には置けない。生花はいったんヴィラ・アイチに集められ、そこからアイチの社員たちがこっちに運んだのよ。あんまり花が多すぎるので、前後の2段に工夫して並べたんだ」 ヴィラ・アイチとは、森下がアイチの保養施設として伊良湖岬につくったリゾート施設だ。敷地内にはヘリポートがあり、告別式には森下自身や親しい関係者がそこから医王寺へ向かった。栄治の回顧談。 「安道さんは東京から自家用ヘリでヴィラ・アイチまで飛んで来て、そこから車で寺にやって来ていました。大月みやこさんもいっしょだった気がします。千昌夫さんもいたかな。とにかく有名人がたくさん見えていましたね。でも、交通の便が悪いもんで、大変だったと思います。なにしろ日本全国から、いろんな方がお見えでしたから」  前述したように医王寺に向かうルートは、JR豊橋駅で新幹線を下車し、そこから自動車を使うパターンが一般的だ。もっとも、数千人にのぼる告別式の弔問者がいたら、とてもじゃないが、駅のレンタカーやタクシーでは足りない。栄治が当時の記憶をたどりながら語る。 「豊橋駅で新幹線が停まるたびにどんどん人が降りて来る。人がたまってしもうて大変だ、となったんです。バスもあるけど、ほんのわずかしか出やなもんで、どうもならん。それで、前に福江の町長をやっとった人が、『市営バスを抜いて(チャーターして)こよう』言うてな。暇な路線のバスを3便ぐらい使って参列者を運んだんだ。それでも足りんから、豊橋鉄道のバスも頼んでピストン輸送してもらったんだわ」 森下は郷里や家族に対する思いがひといちばい強い。創業したアイチという社名も、出身地の愛知県から名付けたとされる。財を築いたのちも、生まれた福江を忘れることなく、東京に墓を建立するつもりもなかった。  医王寺には、父伊作の眠る森下家の立派な墓がある。「アイチメモリアル」と命名した駐車場と併せたその墓の敷地面積は、1500平米ある。墓地は太平洋を望む。栄治に聞いた。 「(2011年の)東日本大震災後、渥美半島も津波の恐れがあるというので、墓地の駐車場に緊急の避難所が建設され、景観が壊れてしまった。けど、前は墓石の向こうに海が抜けて見えて絶景だったんだ。この墓はどこかで見たような気がせんかね? 安道さんは堤義明さんが建てた墓をモデルにここを造ったんだな。アイチの社員に聞くと、総工費はなんと25億円もかけたそうです」  バブルの王様はアイチメモリアルに永眠している。(『バブルの王様』第3回につづく)【プロフィール】森功(もり・いさお)/ノンフィクション作家。1961年福岡県生まれ。岡山大学文学部卒。新潮社勤務などを経て2003年よりフリーに。2018年、『悪だくみ―「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。近著に『菅義偉の正体』『墜落「官邸一強支配」はなぜ崩れたのか』など。※週刊ポスト2021年11月12日号
2021.11.07 19:15
マネーポストWEB
骨スープ、こうじ水など 医師と管理栄養士が実践する「クレンズ」の方法
骨スープ、こうじ水など 医師と管理栄養士が実践する「クレンズ」の方法
 固形物を摂らずに、ジュースやスープなどを飲む健康法「クレンズ」が人気だ。健康、美容、そしてダイエットのために実践するセレブも多いという。 クレンズの基本は胃や腸を休めて、体をリセットすること。そのためにも腸内環境を整えることは大切だ。健康体を維持するために、ふだん、医師や管理栄養士はどのような体内クレンズ方法を実践しているのか。ジュース以外にもマネしたくなる方法を紹介する。燃焼しやすい体を作る骨のスープ コールドプレスジュースを飲むだけがクレンズではない。「私のおすすめは、ボーンブロスです」と言うのは、消化器外科医でヘルスコーチの石黒成治さん。「ボーンブロスとは動物の骨と野菜でだしをとったスープです。牛や鶏、魚の骨を煮込んで作るため、味わい深くおいしい。骨以外にも軟骨や腱などの結合組織を一緒に煮込むため、コラーゲンやゼラチンのほか、グルタミンなどのアミノ酸が豊富に含まれ、腸機能改善の効果も期待できます」(石黒さん・以下同) このスープを3日間にわたり、好きなときに好きなだけ飲む。「同じ味ばかりでは飽きるので、黒こしょうやターメリック、りんご酢などを入れて味を変えます。最初の2日間はボーンブロスのみ、あとは水やお茶、ハーブティーで過ごし、この間、カフェインは摂取しません。 3日目からはココナッツオイルを入れたコーヒーを朝1杯だけ飲んで、あとはボーンブロス。4日目の昼からは回復食として野菜中心のスムージー、夜は野菜サラダを摂って終了。その次の日からは普通の食生活に戻しますが、炭水化物は1日お茶碗2杯程度にとどめておきます」 さらに石黒さんがすすめるのは、空腹の時間を長くするという方法だ。「これは、食べない時間を意識的に確保する方法です。1日の中で食べる時間と食べない時間を分け、食事する時間は1日のうち8時間の間にし、あとの16時間は食事をしない時間をあえて作ります。 たとえば、夜7時までに食事を済ませ、次に食べるのは16時間後の午前11時にする。つまり、午前11時から夜7時までは食べてもいいが、それ以外の時間は、水分以外、何も摂りません。食べない時間が長いほど、消化するためにエネルギーを使わずに済み、内臓も休められ、腸内環境も整えられ、腸が正常に動くようになるのです」 この生活を続けることで、確実にダイエットできるという。「28日間は続けてください。新しい習慣を定着させるためには、最低でも28日は必要です。1日16時間以上、食べない生活が当たり前になっていけば、ダイエットはうまくいきます。私はこの方法で2年前、4か月で14kg減量し、いまもキープしています」●ボーンブロスの作り方 鶏がらと鶏手羽先を合わせて1kgと、にんじんやねぎなど好みの野菜を水2リットルで丸一日煮込む。「『スロークッカー』など保温調理器がある場合は、スイッチを入れて24時間保温調理すれば、骨からじっくり栄養分がしみ出ます」(石黒さん)【プロフィール】石黒成治さん/消化器外科医、ヘルスコーチ。腸内環境の改善、薬に頼らない健康法普及を目的に、YouTube、メールマガジンなどで情報を発信。著書に『医師がすすめる 少食ライフ』(クロスメディア・パブリッシング)。食べ過ぎたらこうじクレンズでデトックス 管理栄養士の野崎ゆみこさんは、食べすぎたときや胃が重たいときに、こうじ水を使ったクレンズドリンクを飲むという。「こうじ水は、お酒やみそなどで使われる米麹を水に一晩漬けたもの。麹はたんぱく質の一種で、酵素がたっぷり含まれています。また、糖質の消化促進を促すアミラーゼや、老化防止や疲労回復効果のあるプロテアーゼ、代謝を燃焼させるリパーゼが多く含まれており、ダイエットやアンチエイジングにはもってこいです」(野崎さん・以下同) そのほか、腸内環境を整える菌も含まれている。「善玉菌の代表格の乳酸菌やビフィズス菌が豊富なので、腸内環境も整い、便通がよくなってデトックス効果があります」 こうじ水はそのまま飲んでもいいが、ハーブやレモンを加えるなど、さまざまな味のアレンジができる。「私は毎朝コップ一杯のこうじ水を飲んでいます。また、日中の水分補給もこうじ水。野菜や果物と一緒にスムージーにすると、酵素とビタミン類が手軽に摂れるので、朝食にスムージーを飲むこともあります。 食べすぎたときは、次の食事をこうじ水にチアシードやレモン、オリゴ糖を入れたドリンクのみにして、摂りすぎた糖や脂肪を燃やします。胃腸も休まり、空腹感も戻ってきます」●レモンチアシードこうじ水の作り方【1】水500mlに米麹50gを入れて一晩置き、こうじ水を作る。【2】こうじ水200mlに対し、レモン汁とオリゴ糖各大さじ1、チアシード小さじ1を加えてよく混ぜる。「レモン汁の代わりに黒酢を混ぜてもおいしいです」(野崎さん)【プロフィール】野崎ゆみこさん/管理栄養士。麹クリエイター、インナービューティープランナーとしても活躍し、ダイエット指導も数多く行う。著書に『美人をつくる! 毎日の「こうじ水」』(光文社)。みそ汁とごはんで脳内環境をリセット「腸内を浄化するためには、まず、ふだんからよく噛むこと」と言う管理栄養士の島田奈美さんは、日頃から体内クレンズを意識した生活を送っている。「30回以上、咀嚼することで食べ物は細かくなり、消化されやすくなって、胃や腸の負担が減ります。よく噛まずに未消化のままだと、腸内で炎症が起きやすく、腸内環境悪化の原因に。すると、便秘になりやすくなります。老廃物のほとんどが大便によって排出されるので、便秘は浄化の大敵と心得て」(島田さん・以下同) ふだんは3食しっかりとり、腹八分目を心がけているが、どうしても体が重く、だるいときは、「リセットご飯」を食べるという。「ご飯とおみそ汁のセット、これだけです。ご飯は普通の白米。おみそ汁は野菜やお豆腐など好きな具材を入れます。 なぜ、この2つかというと、代謝を上げる上で基本的な栄養が入っているからです。ご飯に含まれる糖質は、エネルギー源なので代謝を上げて活動しやすい体作りをするために必要です。 私は検診クリニックで栄養指導をしていますが、“朝ご飯が食べられない”“午前中はだるい”という人には、毎朝、おみそ汁を1杯飲むことをすすめています。 おみそ汁のだしやみその香りにはリラックス効果があり、アミノ酸も含まれているので腸内環境も整います。また、温かいものを体に取り入れることで、体温も上がり、代謝も上がります。おみそ汁を飲む習慣を身につけたことで、体調がよくなったという人も多いんです」 また、胃腸に負担をかけず、体内をクレンズするためには、和風だしをスープのようにして飲むこともすすめる。「かつおぶしや昆布、煮干しでとった和風だしは旨み成分であるグルタミン酸やイノシン酸が含まれているので、ほんの少し塩を入れるだけでもおいしく感じ、だしだけを飲んでも満足感が得られます。 食事と食事の間に空腹を感じたら、おやつの代わりに和風だしを飲むと、無駄な食欲の暴走を抑えられます。市販のだしパックを水で煮出して、ポットに入れて持ち歩くのでもいいですね。 3食きちんと食事をとり、消化、吸収、代謝がしやすい体を作っておくことも重要です」 コロナ太りが気になるなら、クレンズ生活を取り入れて食生活を一度リセットするのもよさそうだ。●クレンズみそ汁の作り方【1】水300mlに、煮干し10gを頭とはらわたを取りのぞいて入れ、2~3分煮出してだしをとる。【2】 【1】のだしに大さじ1.5~2のみそを溶く。おろししょうがを加えると体が温まる。「ご飯は150~200g、具材は季節の野菜を3種類組み合わせるのが基本です」(島田さん)【プロフィール】島田奈美さん/管理栄養士。働く女性の健康支援を軸に次世代の健康の底上げのために研究から啓発・環境整備までを行う、一般社団法人ラブテリ トーキョー&ニューヨーク公認カウンセラー。取材・文/廉屋友美乃※女性セブン2021年10月28日号
2021.10.20 16:00
女性セブン
高血圧患者が注意したい漢方薬やサプリは?(イメージ)
高齢者の便秘薬と骨粗鬆症薬の併用リスク 嘔吐や虚脱感が生じることも
 高齢者になれば、服用する薬も増えていくもの。その薬のなかには、健康リスクが指摘される「組み合わせ」もあるという。 日本病院薬剤師会は2018年2月に『多剤投薬の患者に対する病院薬剤師の対応事例集』を公開。同会は多剤投薬の実態調査の一環として、全国48の病院から対応事例を集積し、内容を精査・厳選したうえで33の事例を詳細に紹介している。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎医師が指摘する。「年齢を重ねると持病の治療だけでなく、骨の脆さや便秘、睡眠不足といった高齢者によくある不調の予防や改善のために、薬を漫然と飲み続けることが多くなります。こうした場合、知らないうちにリスクのある組み合わせが生じることがある」 具体的な事例を見ていこう。不整脈の一種である心房細動や糖尿病などを抱える90代男性(別表の症例)は、病院に外来で訪れた際にヒアリングで多剤処方が発覚。処方意図不明ながら骨粗鬆症薬の活性型ビタミンD3製剤を処方されて、強心薬のジギタリス製剤と併用していた。「骨粗鬆症薬には、血液中のカルシウムを増やして高カルシウム血症となる副作用があります。その状態でジギタリス製剤を併用すると、強心作用が強くなって不整脈が出ることがある。またこの男性のように心房細動の患者に不整脈が生じると、心房内の血液が淀んで固まりやすくなり、脳梗塞を発症しやすくなるリスクがあります」(一石医師) さらにこの男性には、糖尿病薬と降圧剤の危ない組み合わせも見られた。 また加齢で大腸の働きが弱くなり薬に頼る高齢者は多いが、便秘薬(下剤)も組み合わせのリスクが大きい。「骨が脆くなった高齢者が骨粗鬆症薬と便秘薬を併用すると骨粗鬆症薬の吸収が低下し、効果が弱まることがあります。その際に追加されやすい骨粗鬆症薬の活性型ビタミンD3製剤は、便秘薬と併用すると血中のマグネシウム濃度が上がり、嘔吐や虚脱感などが生じる高マグネシウム血症を起こす恐れがある。最悪のケースでは意識消失や呼吸筋麻痺が生じ、心停止に至るので注意が必要です」(一石医師)※週刊ポスト2021年9月17・24日号
2021.09.10 11:00
週刊ポスト
患者が治療や服薬について積極的に理解しようとする姿勢が大切(イメージ)
患者が治療意図を理解する「アドヒアランス」が多剤処方のトラブル防ぐ
 気がついたら毎日何十錠もの薬を飲んだいた──という高齢者も多いのではないだろうか。そして、「薬を減らしたいが、何から手をつけていいか分からない」という悩みを抱える人の参考になるのが、実際に薬を減らせた人の事例だ。 多剤処方がトラブルを招くひとつの要因は、医師の説明が十分ではなく、患者が「服薬の意図」を理解できていないことだ。 それにより、様々な問題が生じる。解決のポイントとなるのが「アドヒアランス」という概念だ。銀座薬局代表で薬剤師の長澤育弘氏が解説する。「治療や服薬を理解した患者が自らそれらに積極的に関わり、医師との合意のうえで治療を受けることを指します。アドヒアランスが悪い患者は自己判断で不規則な服用をして、期待される治療効果が得られないうえ、思わぬ副作用に見舞われる恐れがあります」 日本病院薬剤師会は2018年2月に『多剤投薬の患者に対する病院薬剤師の対応事例集』を公開。同会は多剤投薬の実態調査の一環として、全国48の病院から対応事例を集積し、内容を精査・厳選したうえで33の事例を詳細に紹介している。この事例集にある〈アドヒアランスの改善〉というテーマに分類された減薬の成功例を紹介する。 腰の骨が捻れる腰椎変性側弯症を患った80代男性(別表の症例)は、入院時のヒアリングで15種類の多剤処方が発覚した。内科医の谷本哲也医師(ナビタスクリニック川崎)が解説する。「胃腸薬や降圧剤から整腸剤まであり、様々な病院や診療科にかかって薬が増えたのでしょう。本来は〝やめ時〟があったのに、本人が服薬の意図を理解せず飲み続けた典型的なケースと考えられます」 精査すると、処方意図が不明かつ不要な薬が9種類あり、患者も「薬を用法通り飲めず、薬効が不明なので減薬したい」と申し出たため、減薬指導を開始した。 花粉症などのアレルギー対策になる抗ヒスタミン薬はふらつきリスクがあるため断薬し、咳やしびれなどの症状がみられないことから、咳止め薬や漢方、ビタミン剤や胃腸薬も処方を中止した。 一方で、胃腸薬のファモチジンは一旦中止したが、本人が胃部の不快感を訴えたので再開。整腸剤のビオフェルミン配合散は中止後に便秘症状が出たが、その都度便秘薬を処方することで対応した。「柔軟な対応により、本人の薬剤知識が向上して『症状が出たら薬を飲めばいい』と学べます。『とにかくやめる』ではなく、自分にはどの薬が必要か理解することが大事です。それがさらなる減薬につながります」(谷本医師) 退院時に薬は8種類まで減り、「一包化」が可能になった。「一包化とは、飲むタイミングが同じで一回に何種類かの錠剤を服用する場合に、それらをまとめて一袋にすることです。一包化で飲み間違いや紛失を防ぐことができ、アドヒアランスを向上できます。また、薬が少なくなると『この薬はこのためにある』と理解が進みやすい」(谷本医師) もう1人、糖尿病を患う70代男性は入院時に12種類の薬を服用。薬効や処方意図をほとんど把握せず、自己判断で「妻のインスリン」まで使用していたため、全面的に治療を見直した。 主病の糖尿病に対する治療薬はインスリンの効きをよくするメトホルミンに一本化し、すぐに効くタイプと効果が持続するタイプの2種類のインスリン注射で血糖コントロールを図った。 また、依存性のある抗不安薬と睡眠薬の処方をとりやめ、腰痛に対する鎮痛薬とその副作用予防で処方された胃腸薬なども併せて中止した。 さらに薬剤師が医師や看護師などと連携し、患者とその家族に繰り返し処方指導を行なうことで、患者の自己管理による服薬が安定した。その後の経過観察も良好で、退院時は4種類(+インスリン注射)まで薬を減らせた。「丁寧な減薬指導をすると患者のアドヒアランスが向上し、退院後も服薬順守を維持できるのです」(長澤氏)※週刊ポスト2021年9月10日号
2021.09.01 11:00
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亜希
亜希 陰から見守る元夫・清原和博と息子達との「父子鷹」
NEWSポストセブン
小室圭さんと眞子さん
小室圭さん妻・眞子さんがNYで行きつけのスーパーから見えてきた“妻の気遣い”「日本でいえば『成城石井』」 
NEWSポストセブン
披露宴での志摩ノ海と元関脇・逆鉾の長女・清香さん(時事通信フォト)
故・逆鉾の長女が結婚で後継者確定も名門・井筒部屋再興への“高いハードル”
週刊ポスト
クルマ、ギター、アート、スケートボードにもこだわる
長瀬智也、英国のバイク誌に登場 悠々自適な暮らしに「所ジョージ化している」の声
女性セブン
京都の街を歩く舞妓のイメージ(写真/イメージマート)
元舞妓の〈16歳飲酒〉〈お風呂入り〉告発に、花街関係者も衝撃「未成年飲酒には厳しく対応しているはず」
NEWSポストセブン
結婚し、日本メディアが情報をキャッチしづらいNYで、デイリーメールが追跡取材(写真/JMPA)
小室圭さん・眞子さん夫婦が「離婚で終わったとしても…」英デイリー・メールが報じた「茨の道」
NEWSポストセブン
不祥事を理由に落選したはずなのに、比例で復活されては…(左は塚田一郎氏、右は中川郁子氏/写真=共同通信社)
「不倫路チュー」「USBは穴に…」失言・不祥事で落選しても比例復活するゾンビ議員たち
週刊ポスト