映画、ドラマと八面六臂の活躍を見せた1年だった(時事通信フォト)

演技の幅を着々と広げている(時事通信フォト)

 かけあいは小気味良く個性がぶつかり合ったところにエネルギーが生まれ、活き活きとした即興劇風になっています。つまり、互いが互いを引き立てあう「バディ」の相性がばっちりという点が、このドラマの醍醐味でしょう。

 石子が輝いている理由として、脚本と演出の力も見逃せません。有村さん演じる石子の、良い意味での「固さ」がドラマの背骨になっているようです。西田征史氏によるオリジナル脚本は、一見軽やかなコメディタッチのようでいて、深くてピリっと筋が通っている。「固い」ゆえの良さがあるのです。

 例えば第三話はファスト映画の批評でした。既存の映画をファスト編集でネットに上げる著作権法違反の問題をテーマに展開しました。震撼としたのが、「どんなに謝罪をされても受け入れることはできません」というセリフ。本気で映画を撮ってきた制作者の姿がそこに浮かび上がっていました。

「許さない」という辛口の着地に、ぶれない批評性が1本すっと通っていて清々しい。今や当たり前となった倍速視聴に対する批評にもつながっていて、制作側の意欲やドラマへの愛もヒシヒシと伝わってきました。

 また、毎話冒頭に寸劇風のアヴァンタイトルが入る演出も凝っています。随所に工夫があり、作り手の遊び心が感じられてテンポも良く、さすが塚原あゆ子氏の演出です。巷を見回せば、思いつきのドタバタ劇がすぐに解決していく、といった安易な展開のドラマが目立つ昨今。公共放送の看板番組である15分ドラマなどは、ぜひ『石子と羽男』を見習ってほしいもの。

 そして来る2023年放送のNHK大河ドラマ『どうする家康』では、家康の正室・築山殿という大役が待ちうけている有村さん。役者として飛躍しどんどん変化していこうとする意欲に、一票を入れたいと思います。

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