“偶然”が“偶然”を呼ぶ
ミラクルを連発するご都合主義なストーリー展開にも、批判が集まった。これまでの朝ドラでは、設定の差はあれど、登場人物が成長することで困難を乗り越える様子が描かれてきた。しかし、『ちむどんどん』では、ヒロインの周りで起こるトラブルが、運と偶然であっさりと解決していくことが多い。
「料理人としての成長がテーマなのに、料理修業のシーンがほとんどない。さらに、“偶然”出会った沖縄県人会会長の紹介で就職が決まり、下宿先では“偶然”幼なじみと一緒に暮らすことに。因縁の相手と“偶然”路上で再会するなど、すべてが“まさかや?”なご都合主義で、とても直視できません」(今井さん)
テレビ批評家でライターの吉田潮さんは「女性キャラクターの行動に視聴者の共感が得られない」と分析する。
「出てくる女性が全員“ダメな男を必ず支えてくれる女たち”。つまり昭和のオジサンの理想の女性ばかりなんです。母親はダメ息子をいつまでも甘やかし、レストランのオーナーは裏切った男性コックになぜか寛容だし、和彦の元婚約者は恋人を略奪されても笑顔で誰のことも責めない。
ヒロインの暢子ですらも、義母との同居を望んだり、夫の退職に戸惑いなく賛成したり。女性が生きていくうえで感じるであろう、リアルな感情が一切描かれていないので、興ざめしてしまいます」(吉田さん)
残り1か月で視聴者は“ちむどんどん”出来るのだろうか。
※女性セブン2022年9月8日号