エミカさんにとって、かつては月に数百万円をつぎ込んでも惜しくないほど輝いていた徹さんが、くすんで見えた瞬間だったという。
エミカさんは黙ってお金を貸した。だが、その後も、徹さんからの話は「コロナの愚痴」や「店の経営が大変だ」ということばかり。エミカさんがワールドワイドな「世界」に目を向けるなか、歌舞伎町の、それも自分の周りの小さな「世界」の話ばかりするカレのことを、いつしかエミカさんは「小さい男……」と思うようになっていたという。ほどなくして、エミカさんから別れを切り出すと、徹さんはかなり驚いた様子だったというが、「わかった……」と力なく受け入れたという。
破局を迎えた現在も、2人は友人として仲良く付き合っている。エミカさんは、笑顔でこう話すのだ。
「徹には正直、億は使ったと思います。でも、後悔は一切していません。むしろあるのは、感謝ですね。徹がいたことによって、私は自分が思っている以上に稼げることがわかったし、自分が想像する以上の自分になることができた。言葉は悪いけど、私は徹を踏み台にしてステップアップしたことは事実です」
現在、エミカさんはその圧倒的な美貌を武器に、東京港区のラウンジで働いている。