悲しみに暮れたのは家族だけではない。気さくでチャーミングな人柄で親しまれた古谷さんに、多くの芸能人が追悼のコメントを発表している。
中でも訃報を聞いて泣き崩れたというのは、女優の木の実ナナ(76才)だ。彼女の事務所関係者によれば、木の実は「コメントを出せる状態ではないほど憔悴している」という。古谷さんと木の実は、1982~2007年まで放送された『混浴露天風呂連続殺人』(テレビ朝日系)シリーズで共演し、40年以上の交流がある親友だ。実は、亡くなる数日前、木の実のもとに、古谷さんから電話がかかってきたという。
「コロナ禍でずっと会えていなかったこともあり、体調不良の報道を見て驚いて木の実さんがメールしたら、一行さんから電話があって直接話したそうです。今度、古谷さんの行きつけのお寿司屋さんで食事をしようと言って、会えるのを楽しみにしていたんですが……」(事務所関係者)
自慢の愛車で狭い路地も運転
人間味あふれる味わい深い演技で、二枚目から悪役まで幅広い役を演じ、多くの俳優の憧れの存在でもあったという古谷さん。33才のときにドラマ『横溝正史シリーズ』(1977?1978年・毎日放送)で主人公の金田一耕助役に抜擢。20年以上にわたって演じ続ける当たり役になった。その後は『金曜日の妻たちへ』(TBS系)や『失楽園』(日本テレビ系)などで難しい役どころを演じきった。
順調な俳優生活を送る一方で、私生活は、度重なる病との闘いでもあった。2011年には肺がんに罹患するも手術や治療を経て数か月で復帰を果たす。その3年後には、脳への転移が見つかったが、放射線治療ですべてなくなり、病を乗り越えた。しかし──俳優生活50周年を迎え、さらなる活躍が期待された矢先のこと。古谷さんは再び病に襲われた。2020年に急性胃潰瘍で緊急搬送されたのだ。
「古谷さんが体調不良を訴え、奥様が救急車を呼んで都内の病院に入院したそうです。実はこのときに胃がんが判明し、胃をすべて摘出したそうです。これが体力を落とす大きなきっかけになってしまったのかもしれません。退院後も、通院が欠かせなくなり、以前は頻繁だったゴルフやウオーキングの回数もグッと減ってしまったそうです。その結果、体重も20キロほど落ちてしまったのだとか」(前出・芸能関係者)
一方で、近隣住民は「寝たきりになることもなく、最近もよく姿を見かけていた」と話す。
「たしかに以前と比べたらおやせになったかもしれません。でも、亡くなる直前まで本当にお元気だったんですよ。度々ご家族で仲よく行きつけのお寿司屋さんで外食されていました。
それに、つい最近も、ご自分で颯爽とご自慢の外車でお出かけになっていて。このあたりの路地は狭くて運転しづらいのですが、しっかりとハンドルを操作されていました。だからこそ、こんなに突然逝ってしまうなんて思いもしませんでした」(前出・近隣住民)
誰の目から見ても、生涯現役の俳優だった。
※女性セブン2022年9月22日号