1971年の結婚当時の渡さん(右)と俊子さん

1971年の結婚当時の渡さん(右)と俊子さん

“ボス”の遺志よりも、石原プロの存続を優先させたのには、そんな思いがあった。

「退任後に相談役を引き受け、自分の体調も顧みずに事務所の運営に腐心したのも、まき子さんのたっての希望を受け入れてのことだったと聞いています。ただ、まき子さんは闘病中の渡さんに復帰してもらったのに、会社の方針を変えようとすると、NOとは言わないまでもあまりよい感情を持っていない、そういう空気を漂わせていたんです。

 世間では“鉄の結束の石原軍団”と言われていても、実際はまき子さんと渡さんの関係はすべてがうまくいっていたわけではなかったし、最後はとても脆くなっていた」(前出・石原プロの関係者)

 渡さんの葛藤をいつもそばで見つめてきた俊子さんにとっては、あまりにつらい選択でしかなかっただろう。

「そもそも、大学在学中に出会い、普通の恋愛結婚だった俊子さんにとって、“俳優と結婚した”という感覚はほとんどなかったようです。自宅に渡さんの俳優仲間が訪ねてきても、お酒や料理は振る舞いますが、会話などには一切参加しなかった。

 そんなこともあって、渡さんを拘束し続ける『石原プロ』という存在と、そこに再び身を投じるきっかけを作ったまき子さんに対して、俊子さんは身を引き裂かれる思いを抱いていたようです」(前出・別の芸能関係者)

 渡さんの密葬に、まき子さんは参列しなかった。

「それだけでなく、直後に追悼コメントすら出していません。健康上の理由とされましたが、そういった状況を見ると、やはり俊子さんとまき子さんの間で意思の疎通が取れておらず、暗闘があるのだろうと思わざるを得ません」(前出・芸能関係者)

裕次郎さんの三十三回忌に記念CDを発売

「死に人に構う時間があるのなら、生きている自分自身のために時間を使ってほしい」

 渡さんは、そんな言葉を残していた。だからこそ、冒頭のように三回忌法要も粛々と執り行われた。渡さんを父であり、兄のように慕った石原軍団の舘ひろし(72才)や神田正輝(71才)の姿もなかったという。

「渡さんの死後、舘さんと神田さんが渡さんと対面できたのは、亡くなってからひと月が経った月命日だったそうです。渡さんのご自宅で納骨前の遺骨に手を合わせた。ですが、その後の四十九日法要や納骨には参加していない。三回忌に際しても、お焼香はできていないといいます」(前出・芸能関係者)

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