特に、運動量が低下する40〜60代の女性は腸がむくんでいる傾向にあるという。女性は男性と比べると筋肉量が少なく、もともと便秘になりやすいため、むくみ腸にもなりやすいのだ。
「脚がむくみやすい人は、腸もむくんでいる可能性が高い。夕方以降に指ですねを押して、皮膚の戻りが悪ければ要注意です」
ほかにも、便秘が続いている、おならが臭い、常にお腹が張っている感じがする、ダイエットしているのにやせない、などという人も、むくみ腸の可能性がある。
「一度腸がむくむと便秘になり、便秘は腸の働きを悪くして、さらにむくみ腸が悪化します。すると、腸内の悪玉菌が増えることで肌荒れや免疫力の低下を引き起こす一方で、善玉菌が減少します。
善玉菌には、血圧を下げるほか、血中の脂肪や糖質を減らす働きがあるため、これが少なくなることで高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病にかかりやすくなる。免疫力も低下するので、がんのリスクも高まります」
胃のむくみが全身に“転移”する
『「胃のむくみ」をとると健康になる』著者で中医師の今中健二さんは、内臓のむくみは胃から始まると指摘する。
「水分を摂りすぎて胃酸が薄まり、消化機能が低下すると、胃がむくんだ状態になります。胃にたまった水分が重力で下がると、腸や下半身の内臓に移動していき、そこでさまざまな体の不調を引き起こす。腸のむくみが胃のむくみから来ているケースもあります。
また、胃がむくんでいると、横になったときに胃にたまっている水分が背中や頭の方に流れます。寝起きに片頭痛がある人は、睡眠中に頭がむくんでいる可能性が高い。一方、背中や肺の近くに水分が流れると、ぜんそくや睡眠時無呼吸症候群につながります」(今中さん・以下同)
そもそも、胃は食べたものを消化して、栄養として全身に届けるためのスタート地点だ。むくんで機能が落ちれば、栄養と血液が充分に行き渡らず、倦怠感や貧血、胃もたれなどが起こる。
こうした症状がなくても、胃がむくんでいるかどうかは「舌」を見ればわかると、今中さんは言う。
「中医学で『胃』は、消化器全般を指すこともある言葉です。そして胃の状態は舌に出ます。舌がボテッと肉厚で丸みを帯びているなら、胃もむくんでいます。水分でふくらんだ舌に歯が当たり、歯形がついていることもあります。
そのため、食事中によく舌やほおの内側を噛むのも、胃がむくんでいるサインです。舌の表面がビチャビチャと濡れて見える場合は、むくみが全身に広がっている可能性があります」
今中さんによれば、まさにこれから秋を迎える時期が、もっとも胃のむくみが悪化しやすいという。
気温が下がることで血行が悪くなり、全身の血液やリンパの流れが悪くなるからだ。