『クロ現』はゲストにとっても緊張を強いられる番組だと五箇氏は言う。
「生放送の30分の中で、トークの時間は限られている。リハーサルは1回だけで見切り発車するので、慣れないこちらとしては大変なんです。それをリードするのがMCの役割で、見事に整理してくれてさすがだなと感心します。
打ち合わせも短く、問題点や要点がどこにあるかだけを擦り合わせして本番の流れを調整します。その間にMCはすべて頭に入れているのです。桑子アナもこちらが何を言いたいかを伝えると、要点部分をメモに書き込まれていて、同時に頭にもしっかり入れていました。プロにしかできない仕事だと思います」
そして番組の前後では桑子アナらしい親しみやすさも発揮されていた。
「『お会いできるのを楽しみにしていました』と非常にフレンドリーな感じでした。ダニの絵をプレゼントすると喜んでくれて、2ショット写真も撮らせていただきました。ゲストが緊張しないよう、うまくリラックスさせて会話も弾むような空気を作れる人なのでしょうね」(同前)
フリーアナウンサーの生島ヒロシ氏は、『クロ現』キャスターになったことによって、桑子アナの進化を感じると言う。
「スタート当初は『桑子アナで大丈夫?』という声もあったようですが、むしろ彼女に合っていた。キャスターの質問力が問われる番組ですが、桑子さんの自然体で柔和な雰囲気がゲストも思わず『桑子さんなら』と話してしまう空気を作っている。そうして引き出す力がありながら、間違うことを恐れず聞くべきことはしっかり押さえています。
『それ、どういうことですか?』と素朴な疑問を投げかける桑子さんの姿勢は、予想外の方向に話が進む面白さがあります。それにあの目で見つめられたら『本当のことを言おう』となりますよね。アナウンサーの仕事は受け身であり、いいリードをするキャッチャーみたいなものです。桑子さんは本当の意味でのアナウンサーとしての力を持ったのだと思います」
エースアナから“NHKの顔”になる日も近い。
※週刊ポスト2022年10月7・14日号