甲子園を沸かせた浅野翔吾の豪快なホームラン(時事通信フォト)

甲子園を沸かせた浅野翔吾の豪快なホームラン(時事通信フォト)

二軍で誰がどう指導していくのか

 有力選手が毎年のようにFA宣言で巨人に入るような時代ではなくなり、ドラフトで巨人を熱望するような選手もあまり見かけなくなった。今後、毎年のように優勝できるチームにするには、若手を育てることが必須だ。

「平成になってから高卒1年目で新人王を取った選手はいないですし、浅野を来季から一軍で常時使うことは考えづらい。まずは二軍で試合数を積み重ねていくでしょう。そうした中で大切なのは、二軍で誰がどう指導していくのかという点です。

 二軍の打撃コーチは、今季まで広報を担当していた橋本到コーチが務めます。現役時代、俊足巧打の良い打者でしたが、長距離砲を育てるプランや指導力を持っているのかは未知数。他には石井昭男・巡回打撃コーチや、岡本和真の成長に欠かせない存在だった二岡智宏二軍監督がいる。あるいはキャンプは一軍に帯同させ、育成力に定評のあるデーブこと大久保博元打撃コーチが指導する可能性もある」

 コーチ陣が大器にヒントを与え、二軍で実戦経験を積んだ後は、いよいよ一軍で原監督がどう起用するかという問題が出てくる。

「原監督は3年契約の2年目ですから、浅野が2年目を迎える再来年までは指揮を執るでしょう。浅野の成長度合いにもよりますが、今年、若手投手陣を我慢して起用したように、どこまで辛抱できるか。たとえば、3試合ノーヒットでもスタメンで使い続けられるか。野手の場合、外国人もいますし、投手以上にチャンスは少ない。すぐに代打を出すような使い方をすれば、なかなか芽が開かないかもしれません。

『巨人は常に勝たなければならない』と首脳陣は思っているでしょうし、誰だって勝ちたいのは当然です。でも、もう毎日地上波のテレビ中継がある時代ではないですし、昔よく言われていた『巨人が優勝すると景気が上がる』なんてこともない。常勝チームになるに越したことはないですが、その一方で、ヤクルトのようなファンに愛されるチーム作りも必要ではないでしょうか。その1つに、村上宗隆や山田哲人のような生え抜きスターの存在があります。近い将来、岡本和真と浅野翔吾という『高卒ドラ1』が3番、4番を打てば、巨人の人気は回復すると思いますよ」

 今季は本拠地・東京ドームのライトスタンドにも空席が目立ち、観客動員数で阪神に首位の座を譲ってしまった巨人。常勝を目指しながらも、育成により舵を切るべき時代になっているのかもしれない。

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