『仮面ライダー』シリーズの映画舞台挨拶にて(写真は2017年。中央が赤楚衛二)

『チェリまほ』出演が転機に?(写真は2017年。中央が赤楚衛二)

『チェリまほ』に続く、次なる作品は?

 2019年には西島秀俊さん&内野聖陽さん主演『きのう何食べた?』(テレビ東京系列)が放送。中年男性の恋愛も、名俳優が演じるとなんと可愛く、コミカルに! と感嘆した。ただおふたりはそもそもスターなので、本編からは傍に置いておこう。

 この年に泣かされたのは、金子大地さん主演『腐女子、うっかりゲイに告(コク)る。』(NHK総合)だ。クラスの優等生のようなNHKが作ると、『女子的生活』同様、真面目に真正面からLGBTをめぐるテーマと対峙するのだろうか。

 高校生の安藤純(金子)は、自分がゲイであることは、周囲に隠している。団体生活で自分の恋愛観を話したら、いじめの対象になってしまうと恐れたからだ。隠すためにクラスの女子生徒と交際をしても、うまくいくはずがない。心の拠り所はSNSでつながった人物のみ……。社会規範とはなんだろうと考え、純の葛藤に泣いた。主演の金子さんは前述した『おっさんずラブ』にも出演していたが、今や大河ドラマ(『鎌倉殿の13人』の源頼家役)をはじめ、各所で頭角を表している。

 そして冒頭の2020年放送『チェリまほ』に、この流れが繋がっていく。映画化も果たし、主演の赤楚さん、相手役の町田さんはもう日本のエンタメには欠かせない人物になっている。

 偶然かもしれないけれど、私が見つけた「LGBTドラマに主演した俳優は、その後大活躍する」の法則。2008年『ラスト・フレンズ』(フジテレビ系列)で上野樹里さんが性同一性障害の役を演じたときは、まだデリケートな問題だったと思う。ドラマ内でも周囲から好奇の視線に晒される描写があった。それが時を経て問題ではなく、ごく当たり前の光景になったのだとしたら……この法則、まだまだ続くような気がする。

【プロフィール】
小林久乃(こばやし・ひさの)/エッセイ、コラムの執筆、企画、編集、プロモーション業など。出版社勤務後に独立、現在は数多くのインターネットサイトや男性誌などでコラム連載しながら、単行本、書籍を数多く制作。著書に、30代の怒涛の婚活模様を綴った『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ)、『45センチの距離感 -つながる機能が増えた世の中の人間関係について-』(WAVE出版)がある。静岡県浜松市出身。Twitter:@hisano_k

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