前出の『silent』もオリジナル作品のひとつだ。脚本の生方美久さんは、若手脚本家の登竜門として知られる「フジテレビヤングシナリオ大賞」を受賞し、2作目で今作に挑む新人脚本家だ。
ドラマ評論家の吉田潮さんも『silent』の新しさを大絶賛する。
「いままでのドラマなら、視聴者が飽きないように、説明口調のせりふで小気味よく展開させそうな場面も、じっくり時間をかけて会話をさせたり、丁寧な回想シーンを入れ込んだりしています。それでも見入ってしまうのは、脚本の力でしょう。
まったくの無音で、手話と表情だけの場面をひたすら続けることも、これまでにはなかった意欲的な撮り方です。音声がなく、字幕だけだからこそ、視聴者はテレビ画面から目を離すことができず、ますます物語に没頭していく仕掛けといえるでしょう」
人気は回を重ねるごとに過熱し、すでにロケ地の“聖地巡礼”が盛んになっている。ドラマ制作スタッフが明かす。
「ロケ地観光が増えていることはキャストの耳にも入っていて、励みになっています。ただ、盛り上がりすぎて撮影場所のカフェには2時間待ちの行列ができたり、頻繁に撮影する都内の駅に何百人も集まってしまったり……。まだ撮影は続くので、対応に追われています」
現場の雰囲気も上々。フジテレビの連ドラに初出演の目黒は、川口から学ぶことも多いのだとか。
「撮影中、ダッシュする川口さんの靴が脱げてしまったことがありましたが、彼女は、『やっちゃった!』という感じで、舌を出して笑って、周囲もそれにつられて大爆笑したことがありました。それを見て目黒さんは『自分だったらスミマセンって謝りまくって、変な空気をつくってしまっていたかも……。川口さんはスゴイ!』と、彼女の現場力に驚いていました」(前出・ドラマ制作スタッフ)
物語の後半では、主役の2人以外の登場人物にスポットが当たっていくという。
※女性セブン2022年12月1日号