⑨	地雷の撤去作業は自らの身体も損なう可能性もある危険なものだ

地雷の撤去作業は自らの身体も損なう可能性もある危険なものだ

カンボジアもジャングルも全部本当の経歴だった

 21才で大学を辞めたタイキ氏は、起業という夢を叶えるために本格的に舵を切る。

「でも、何の会社をやりたいとかいうビジョンはなかった。ただ、ネットの検索窓に『社長見習い』と打ち込んで、求人を検索する日々でした」

 そこでみつけたのが、カンボジアでの求人だ。

「ある経営者がカンボジアで現地へ進出する日本企業のコンサルティングとレストラン運営、それに農地投資の事業を始めたんです。その中で飲食店部門の責任者の募集があり、軌道に乗ったら飲食部門を独立させ、社長にしますという話があった。応募したらレストランの責任者として採用されて、現地で働いていたのですが、社長から『世界を股にかけて活躍できるよう色々な経験をさせる』といわれて、社長のツテで地雷撤去のチームで一か月ほど働くことになったのです。

昼間はジャングルで地雷撤去。夜は狩りに出てサバイバル生活。そういうのをやっていました。地雷を撤去するには、金属探知機で地面をくまなく探索して、反応があれば爆薬をしかけ、バン!です。ハンティングは、夜中ジャングルにいくと真っ暗だから、動物の目が光るんですよ。そこをまたバン!と撃つ。撃った獲物は、その場で絞めて、一緒に狩りをした現地の仲間たちと一緒に、皮を剥ぎ内臓をくり出し、丸焼きにして食べていました」

 チームに日本人は彼一人だったが、あっと言う間に馴染み、ジャングルでの“研修期間”を無事終えて帰還した。

「その後の仕事は社長の付き人のようなポジション。いろいろな経営者の人たちと関わり、話を聞く中で起業を考えるのであれば、マーケティングを学ぶ必要があると思い、帰国して、ネット広告代理店に勤めました。同じ業界で何度か転職し、最後の会社ではグループ内で新会社を立ち上げ、のちに他の会社に買収してもらおうと交渉を行ったのですが、買収額に折り合いがつかず、独立ができないならば、と退職しました」

「億」への一歩は「千円のランチから」

 29歳の時だった。広告業界から離れたタイキ氏は、昼は働きながら、週末は歌舞伎町のバーでバイトを始めた。

「その時、初めて、仕事を“楽しいな”と思ったんです。それまでは、いかに会社を回すか、売り上げを上げるかということで、達成感はあるものの自分が“楽しい”と思ったことはなかったから」

 だが、初めての「夜の仕事」。しかもバーといえどもオーセンティックなものではなく接客も楽しませ、お酒を頼んでもらうことで利益をあげるホストクラブ的な要素もある店だった。先輩たちが毎日のようにシャンパンを開ける中、自分だけがどうしても売り上げを立てることができない。

「信じられないかもしれませんが、当時の僕はとにかく女性におごられるのがイヤで、お金を出させたことがなかったから、街でナンパした女性をバーに連れて行っても、払わせることができないんです。

 これでは自分の殻を破れない……と、まずは『お金を使ってもらうことに慣れる』ところから始めました。一番最初は1000円のランチをおごってもらい、次は2000円にアップさせ、それから洋服を買って貰ったりと、徐々にステップアップさせていったんです」

 まさに、千里の道も一歩から――。タイキ氏は徐々に、バーでも売り上げを上げていくようになった。そんなときに、たまたまバーに来ていた『X』のスタッフから「ホストをやってみないか」と“スカウト”されたという。その誘いに、タイキ氏は即座に乗った。

 水商売もこのバーが初めて。ホストとしては完璧な未経験で、太い客がついているわけではない。ましてや相手は天下の有名店。躊躇はなかったのか。

「30歳目前で転職は“ギリラスト”って感じでしたね。何かするのであれば、今しかなかった。スポーツマンや芸能人が個人の実力だけでのし上がっていくように、自分の実力だけでどこまで輝けるか、挑戦してみたいという気持ちしかなかったんです」

関連記事

トピックス

被害男性は生前、社長と揉めていたという
【青森県七戸町死体遺棄事件】近隣住民が見ていた被害者男性が乗る“トラックの謎” 逮捕の社長は「赤いチェイサーに日本刀」
NEWSポストセブン
体調を見極めながらの公務へのお出ましだという(4月、東京・清瀬市。写真/JMPA)
体調不調が長引く紀子さま、宮内庁病院は「1500万円分の薬」を購入 “皇室のかかりつけ医”に炎症性腸疾患のスペシャリストが着任
女性セブン
学習院初等科時代から山本さん(右)と共にチェロを演奏され来た(写真は2017年4月、東京・豊島区。写真/JMPA)
愛子さま、早逝の親友チェリストの「追悼コンサート」をご鑑賞 ステージには木村拓哉の長女Cocomiの姿
女性セブン
1980年にフジテレビに入社した山村美智さんが新人時代を振り返る
元フジテレビ・山村美智さんが振り返る新人アナウンサー社員時代 「雨」と「飴」の発音で苦労、同期には黒岩祐治・神奈川県知事も
週刊ポスト
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
【視聴率『愛の不時着』超え】韓国で大ヒット『涙の女王』 余命宣告、記憶喪失、復讐など“韓国ドラマの王道”のオンパレード、 華やかな衣装にも注目
【視聴率『愛の不時着』超え】韓国で大ヒット『涙の女王』 余命宣告、記憶喪失、復讐など“韓国ドラマの王道”のオンパレード、 華やかな衣装にも注目
女性セブン
公式X(旧Twitter)アカウントを開設した氷川きよし(インスタグラムより)
《再始動》事務所独立の氷川きよしが公式Xアカウントを開設 芸名は継続の裏で手放した「過去」
NEWSポストセブン
NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
女性セブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
「ホテルやネカフェを転々」NHK・林田理沙アナ、一般男性と離婚していた「局内でも心配の声あがる」
NEWSポストセブン
タイトルを狙うライバルたちが続々登場(共同通信社)
藤井聡太八冠に闘志を燃やす同世代棋士たちの包囲網 「大泣きさせた因縁の同級生」「宣戦布告した最年少プロ棋士」…“逆襲”に沸く将棋界
女性セブン