話すというのは東京の専門学校時代の友人に対してで「基本料金2000円超えの1立方メートルあたり1000円近い」と話すと「なんでそんなとこ使ってるんだ」と返されたという。
「田舎のプロパンガスは少数の業者が牛耳ってますから高いんですよ。最近また値上げされました」
「人生設計見直す時期なのかなとさえ思う」
プロパンガスの料金は原則、販売店側が自由に決められる。競争の激しい都市部では多少安く、また乗り換えの選択肢もあるが、地方によっては業者の数が少なく寡占状態の地域もある。電気代の高騰ばかり話題になるが、ガス料金、とくにプロパンガスの家庭もまた深刻だ。都市ガスなら、例えば東京ガスの一般料金で199.33円(20立方メートル~80立方メートル・2023年1月検針分)である。プロパンガスの人からすれば都市ガスの安さは信じられないし、また都市ガスの人からしてもプロパンガスの料金なんて理解できないししたくもないだろう。
「それに賃貸の場合、そもそも大家さんとプロパン屋さんの付き合いで決まりますからね。この辺のプロパンは(値段も)横並びですし、不動産屋に言っても『大家が契約してるから』、です。そういうとこばかりですよ。いっそ転職して都会に引っ越そうかと考えてます」
もちろん地域やオーナーの事情にもよるのだろうが、プロパンガスの料金は自由に決められるため大家さんがそれでいいならそれ、となる。インフラとはいえ民間の話、プロパンガスは自由価格としてある程度、顧客に負担を転嫁できる。そればかりが要因ではないが、大手プロパン各社はこのエネルギー危機の中にも増収増益を記録している。
平均45.84%の値上げ申請で驚かせた北陸電力管内となると「恐怖」との声が聞かれた。筆者の旧友で石川県に住む40代夫婦(子ども2人)の話。
「値上げは恐怖ですよ。電気代を節約すると言っても限度がありますから」
北陸電力によれば、例えば従量電灯B(契約電流30A、使用量230kwh)の家庭では6402円の従来支払額から改定後は9098円になるとしている。北陸電力の経営は深刻で、収入不足額184億円が見込まれるためやむなく申請したとのことだが、先の東北同様に雪も多く極寒の地域が大半、冬ばかりは「節約」といっても限度があるのはもっともな話である。もちろんこれにガス代や灯油代などが加わる。
「ちょっと節約とかどうこうというより、生活設計というか、人生設計見直す時期なのかなとさえ思います。給料が上がらない地域で働くくらいならやっぱり関東のどこかで働こうかなとも思いますし」
彼はUターン組だったので東京(関東)に戻る、といった感覚だろうか。確かに頼れるほどの実家であったり地域で地縁の太い人でなければそれもありかもしれない。今後の電気、ガス(とくにプロパン)、灯油など光熱費の高騰は地方、とくに寒い地域で暮らす現役世代に多大な影響を与えそうだ。
「これで値上げが終わりとは思えないんですよ。2倍どころか3倍、4倍に値上がりしてもおかしくないと思うんです。エネルギーのほとんどが外国頼みなわけで、大げさかもしれませんが、日本そのものがエネルギーで詰んじゃうんじゃないかって」