悲観的過ぎるとは思わない。ヨーロッパなどはさらに深刻で、ドイツは電気代やガス代の一律上限制導入を検討するだけでなく、2022年12月のガス代を免除する一時的な措置をとった。そして原子炉56基を持つフランスが運転再延長と6基増設を予定したのと歩調を合わせるように、ドイツも脱原発を先送りせざるを得なくなった。それどころかこれまでの脱炭素、環境アピールから一転、石炭火力発電所を次々と再稼働させている。それを「裏切り」だとして環境活動家グレタ・トゥーンベリ(スウェーデン人)がドイツの炭鉱の立入禁止区域に侵入して一時的に拘束されたが、この抗議活動もまたドイツの方針転換に端を発している。イギリスに至っては昨年、家庭の電気・ガス料金の価格上昇を80%まで引き上げ可能にしたため「heat or eat(暖房か食事か)」とまで報じられ、北海油田の再開発に乗り出した。各国とも今後さらに悪化することは確実で、いかにヨーロッパにおけるロシアのウクライナ侵攻と資源争奪、インフレの影響が大きいかはわかるだろう。
ちなみに日本は西日本を中心に10基が再稼働しているが建て替え、増設も含め原発の活用そのものが先送りの状態にある。
高騰を嘆く一人暮らし20代「SNSは阿鼻叫喚ですよ」
もちろん都市部の住民であっても電気代の高騰は深刻だ。
「都市ガスなのは幸いですけど、電気代は高いですね。オール電化ですけど深夜料金も上がってますし、家族4人で1ヶ月8万円でした」
50代夫婦で子ども2人、共働きでメディア関係の不規則な仕事のため、電気代の節約はなかなか難しいと語る。
「外食減らすとか美容院に行く回数減らすとか、他で削るしかないと思ってます。それでもどれだけ値上がりするか、怖いですね」
筆者が以前、別の取材で知り合った北関東で一人暮らしの20代会社員もこう嘆く。
「月1万5000円なんてびっくりです。信じられないならSNSとか検索してみてください、阿鼻叫喚ですよ」
ごく普通のワンルーム、一人暮らしで1万5000円なんて高いなあと思ったが、確かに調べてみると1万円どころか2万円を超える人たちが同じように嘆いていた。人それぞれだが「電気代はだいたいワンルームで月5000円くらい」なんて昔のイメージはどこへやら、ガス代に至っては先の既婚組同様、とくにプロパンガスの人たちを中心に嘆きどころか悲鳴に近い状態だ。