スポーツ

蛯名正義調教師が振り返る 「関東vs関西」に分かれていた80年代、90年代の競馬界

蛯名正義氏がジョッキーになった1980年代は、まだ関東と関西の区別がはっきりしていたという

蛯名正義氏がジョッキーになった1980年代は、まだ関東と関西の区別がはっきりしていたという

 1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏は、2022年3月から調教師として活動している。蛯名氏の週刊ポスト連載『エビショー厩舎』から、関東馬と関西馬でライバル意識が強かった時代の思い出についてお届けする。

 * * *
 今週末は阪神競馬場の2000mで大阪杯が行なわれます。かつて古馬による春のGIは3200mの天皇賞(春)の他、6月の1600m安田記念、2200m宝塚記念しかなかったのですが、中距離適性馬が国内で出走できるレースがより必要とのことから、2017年にGIIからGIになりました。春の中距離王決定戦といったところでしょうか。

 それまでは天皇賞(春)の前哨戦といった位置づけで、スーパークリークやトウカイテイオー、メジロマックイーンやエアグルーヴなどの実績馬がここから始動しました。「大阪杯」というだけあって、関西のレースという印象。実際2000年以降は、ずっと関西馬が勝っています。僕はGII時代に6回出させてもらっていますが、3回は関西馬での出走で2着になったこともあります。

 僕がジョッキーになった1980年代は、まだ関東と関西の区別がはっきりしていて、全国発売される馬券も限られていましたし、たとえば2歳(当時は3歳)チャンピオンを決めるレースは東西別々でした。雑誌の『競馬ブック』なんかも関東版と関西版が別々に出ていましたね。

 当時は関東馬が圧倒的に優勢、ダービーは1983年から1990年までずっと関東馬が勝っていたし、1983年ミスターシービー、1984年シンボリルドルフと2年連続して誕生した三冠馬も関東馬。メジロラモーヌが牝馬三冠を達成した1986年も、関西馬でGIを勝ったのは菊花賞だけ。大御所といわれるジョッキーが何人もいて、若手がそこに入り込むのが難しいぐらいでした。

 関東で行なわれる重賞レースに関西馬が遠征して来たりすると、大げさに「西からの刺客」なんて言われていました(笑)。今では関西馬の参戦は当たり前のことですが、当時はレアケースだったし、何か不気味な雰囲気があったのかもしれません。

 僕は関東所属でしたが、関西陣営の何とか関東に追いつけ追い越せという意気込みは感じていました。1990年代に入った頃から関西馬の強さが目立ってきました。僕がそれを実感したのは1994年、開業されたばかりの森秀行先生から騎乗依頼をいただいた時です。追いきりで初めて栗東トレーニング・センターの坂路効果を体感。すごい施設ができたな、関東馬はのんびり構えていてはヤバい、美浦にも同じものをつくってもらわないと大変だと思いました。

関連キーワード

関連記事

トピックス

中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
愛子さま、初の単独公務は『源氏物語』の特別展 「造詣が深く鋭い質問もありドキっとしました」と担当者も驚き
愛子さま、初の単独公務は『源氏物語』の特別展 「造詣が深く鋭い質問もありドキっとしました」と担当者も驚き
女性セブン
“くわまん”こと桑野信義さん
《大腸がん闘病の桑野信義》「なんでケツの穴を他人に診せなきゃいけないんだ!」戻れぬ3年前の後悔「もっと生きたい」
NEWSポストセブン
中森明菜
中森明菜、6年半の沈黙を破るファンイベントは「1公演7万8430円」 会場として有力視されるジャズクラブは近藤真彦と因縁
女性セブン
食品偽装が告発された周富輝氏
『料理の鉄人』で名を馳せた中華料理店で10年以上にわたる食品偽装が発覚「蟹の玉子」には鶏卵を使い「うづらの挽肉」は豚肉を代用……元従業員が告発した調理場の実態
NEWSポストセブン
報道陣の問いかけには無言を貫いた水原被告(時事通信フォト)
《2021年に悪事が集中》水原一平「大谷翔平が大幅昇給したタイミングで“闇堕ち”」の新疑惑 エンゼルス入団当初から狙っていた「相棒のドル箱口座」
NEWSポストセブン
昨年9月にはマスクを外した素顔を公開
【恩讐を越えて…】KEIKO、裏切りを重ねた元夫・小室哲哉にラジオで突然の“ラブコール” globe再始動に膨らむ期待
女性セブン
稽古まわし姿で土俵に上がる宮城野親方(時事通信フォト)
尾車親方の“電撃退職”で“元横綱・白鵬”宮城野親方の早期復帰が浮上 稽古まわし姿で土俵に立ち続けるその心中は
週刊ポスト
大谷翔平の妻・真美子さんの役目とは
《大谷翔平の巨額通帳管理》重大任務が託されるのは真美子夫人か 日本人メジャーリーガーでは“妻が管理”のケースが多数
女性セブン
17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン
殺人未遂の現行犯で逮捕された和久井学容疑者
【新宿タワマン刺殺】ストーカー・和久井学容疑者は 25歳被害女性の「ライブ配信」を監視していたのか
週刊ポスト