『70歳のたしなみ』刊行から4年、書き下ろしの新章を加えた文庫版が5月2日に発売さ

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なんでもやってみればいい

和田:気が滅入るなどストレスは免疫にとって大敵で、人間、機嫌がいいとナチュラルキラー細胞が活性化して免疫力が上がります。先程の“鏡を見て……”の話にしても、見た目が老人らしくなっていくとその影響で心も老化し、全身の身体機能も老化してしまうんです。

 逆をいうと、外見のアンチエイジングが老化に歯止めをかける。精神神経免疫学の研究では、外見を通じて心が若返えれば免疫機能もかなりの精度で若返るという説もあります。

坂東:“いい年をして若作りは恥ずかしい”なんて言わずにメーキャップやおしゃれ、姿勢をきれいに保つことでも印象が若々しくなって、自分が励まされる。見た目は心の持ちようを明るくしますよね。10歳若返ろうと欲張らずに5歳ほど若く見えるように工夫してみるのは、いくつでもできますし、私も頑張ります。

和田:それこそ実験の感覚で。年齢を理由に二の足を踏まずに、試せることはなんだってやってみれば生きることも楽しくなると思いますよ。

坂東:結果を気にせずやってみようの心意気ですね。若い頃の私は失敗を気に病んでは、いつまでもくよくよしていたんです。講演会場へぎりぎりに着こうものなら、どうしてあのときに家を出なかったのだ、どうしてこの講演を引き受けたのだと、くよくよして立ち直れなかった(苦笑い)。いつまでも引きずっても何もならない、仮に遅刻したとしても笑顔で面白い話で場を沸かせれば講演としてはリカバリーできるじゃないかと気分を転換できるようになったのは、年齢を重ねたおかげ。何度も失敗して悔やんで、アクシデントにも機嫌を保てるようになったんです。

和田:素晴らしい。坂東先生のように年を取ることで上機嫌でいられるようになる人もいれば、年を取るほど保守的になって気持ちが閉じてしまう人もいる。その心構えの差が老化の分かれ道になるんです。

にこやかに対談

にこやかに語り合った

(了。前編から読む

【プロフィール】
和田秀樹(わだ・ひでき)/1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、国際医療福祉大学大学院教授、ルネクリニック東京院院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。『80歳の壁』は’22年の年間ベストセラー総合第1位(トーハン・日販調べ)に。

坂東眞理子(ばんどう・まりこ)/1946年富山県生まれ。昭和女子大学総長。東京大学卒業後、総理府入省。内閣広報室参事官、埼玉県副知事などを経て、1998年に総領事に。2001年、内閣府男女共同参画局長を務め2003年に退官。2004年に昭和女子大学教授、同大学女性文化研究所長。2007年に同大学学長、2014年から理事長、2016年から総長。2006年刊行の『女性の品格』は330万部を超えるベストセラーに。

構成/渡部美也 撮影/浅野剛

※女性セブン2023年5月11・18日号

 

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