ウソのない芝居をしなさい
──2010年頃から、声優養成所などの講師としても活躍されています。“声のプロ”として、生徒さんにはどんなアドバイスをされるんですか?
いろいろありますが、「ウソのない芝居をしなさい」ということでしょうか。芝居とバレない自然な芝居がいいんじゃないか、ということを伝えています。声優さんに憧れている人、特に女の子は、かわいい声を作って演じたいんですよね。でもかわいい声でしゃべるのは、意外と誰でもできます。
──可憐な声質でいろいろなヒロインを演じてきた島本さんが、それを言うのは重みがあります。
かわいいヒロインの脇に個性的なキャラがいたほうが作品に厚みが生まれるし、役者としての存在感も出しやすいのになぁ……と。若い子たちを見ていて、もったいなく感じることがあります。
絶対ダメとは言わないけど、いつも作った声で演じていると、だんだん苦しくなってくるんじゃないでしょうか。自分の素の声でやれる役はどんなものか分析してみるといいと思います。それを軸に、ちょっと声を作って「こういう役もできるかな」と引き出しを増やしていくイメージですね。声優を目指す子たちには、自分のそのままの声の魅力に気づいてほしいです。
──今の声優さんは、声の演技力に加えて、歌やダンスなど求められる要素がたくさんありますよね。
歌えることや踊れることをキャスティングの条件にした作品もありますからね。今の女性声優は、みんな上手でみんなかわいい。かといってアイドル路線を10年続けるのは、本当に難しいことだと思います。人気のある時期から「少し先」を意識して、上手く路線変更できたらいいですよね。