再び、「現在の『トー横』広場」
5月8日。トー横広場に向かってみると、一見すると、タワーが聳え立つほかは、卍會が活動していた頃と、そんなに大きな違いがないように見える。だが、広場に陣取っていた「キッズたち」の姿はない。
その日はちょうど、広場では「激辛まつり」というイベントが開催されていた。なんとなく広場を眺めていると、鳥のイラストが描かれたお揃いのグリーンのチョッキに身を包んだ団体が、広場の清掃をしている。
私が団体の中にいるひとりの男性に「お掃除ですか?」と声をかけると「はい。あなたも参加していきますか?」と清掃用のトングを渡してくる。団体の名前は「グリーンバード」。全国に拠点を構える「お掃除ボランティア」の団体で、メンバーは20代の若い男女を中心に50代くらいの男性もいる。全員、民放の情報番組から抜け出たようなさわやかな容姿をしており、「若者のボランティア」と聞いて、まっさきに頭にイメージするような、小綺麗で健全なグループだ。しばらく話を聞いていると、リーダーだという青年を紹介された。まだ年若い彼は、背が高く、アイドルのような風貌で、何よりも、芸能人のような歯並びの揃った真っ白な歯をしているのだ。
「卍會」が治安を守っていた「トー横広場」は、現在はこの「グリーンバード」によって、見回りと清掃が行われている。
面会から数日後。自宅へ戻ると、インフィから手紙が来ていた。白い封筒がパンパンになるほどに詰められた便箋は8枚。細かい字でびっしりと、事件のこと、ハウルとのこと、卍會のことなどが綴られていた。
インフィからの手紙は「あの場所で出会った人は本当僕にとって素晴らしい時間をいただいたなぁ~って改めて思います。早くみんなに会いたいです(原文ママ)」と締められていた。
判決は5月18日に下される。
(前編から読む)