いったいなぜ暴力団はこのタイミングでスマホの使い方に注意を促し始めたのか。六代目山口組の関係者はこう語る。
「今年に入って六代目山口組はETCの不正利用で4人の幹部が相次いで逮捕されている。いずれも他人名義のETCカードを利用したことで、正規料金との差額を騙し取ったという容疑だ。昨秋以降、山口組分裂抗争は表立った抗争が起きておらず、警察も不穏に感じているんだろう。幹部を逮捕したのも抗争や組織の内情についての情報を引き出す目的があるはずだ。
警察がETCの次に狙い撃ちしてくるとみているのが、こうしたスマホアプリの利用。先日もマイナンバーのポイント還元欲しさに電子決済サービスに登録したことで六代目山口組の組員が捕まるなど、誰がいつ捕まってもおかしくない状況にある。とはいえ、シノギ(ヤクザの経済活動)のためにもスマホを持たないなんてことはできない。そのため、暴力団全体で警戒しようということで、こうした紙が配られているんだろう」
暴力団のなかには表だった抗議をする組員も現れている。5月17日、六代目山口組系の50代幹部が、ETCパーソナルカード(クレジットカードを持っていない人でもETCが使えるサービス)の会員資格を取り消されたことについて、「公共性の高いインフラから暴力団関係者を排除するのは不合理な差別で、公序良俗に反する」と主張し提訴したことが報じられた。