パブピアでの指摘(2020年の論文)。BとCは別の実験画像とされていたが、「AI」が枠で囲んだ部分が「同一」と判定。同じ画像の位置をズラして使用した疑いがある

パブピアでの指摘(2020年の論文)。BとCは別の実験画像とされていたが、「AI」が枠で囲んだ部分が「同一」と判定。同じ画像の位置をズラして使用した疑いがある

 パブピアでこうした論文不正が指摘された今年3月、S氏は前触れもなく国循を辞職してロンドン大学に戻った。理由は明かされていないが、論文への疑惑発覚とタイミングはぴったり符合する。

 本誌・週刊ポストはロンドン大学の広報担当者にS氏の論文不正疑惑について把握しているのかを質問したが、回答期限までに返答はなかった。

 大津氏をトップとする国循はS氏の論文に疑義が生じたことも公表していないが、大津氏はその他の研究不正には厳しい態度を見せてきた。

 2018年まで国循に在籍した医師のがん研究論文で実験に使ったマウスの数の捏造や画像の使い回しが発覚した問題では、今年5月に当該の医師に退職金の返還を求める措置を公表。この件についてメディアの取材を受けた大津氏は、「研究者として、決して許されるものではない」と述べていた。

 2021年8月には、大津氏は国循の「研究の不正防止計画」を改定。国循の元職員によると、この改定時に「過去の研究において不正行為に関与していない」とする誓約書の提出を研究に関わる全職員に要求したという。

 そうして職員に厳しい誓約を求める一方で、大津氏は自身の研究論文にパブピアで不正の指摘がされていることを知っているのだろうか。

第三者調査委員会の設置へ

 国循の広報は、大津氏のインタビュー取材は受けられない、としながらも、文書で回答した。

〈大津は、本件(パブピアの不正疑惑の指摘)について把握しております。また、厚生労働省には6月末に報告済みでございます〉(括弧内は筆者補足)

 論文の不正疑惑についての見解は──。

〈第三者のみからなる調査委員会による調査が行われることになっております〉

 画像の使い回しを大津氏は知っていたのか、などの質問には、〈調査の公正中立性に影響するおそれがありますので、お答えは差し控えさせていただきます〉とするのみ。

 国循の元職員から入手した前述の誓約書には、公的研究費の使用に当たり、各種の規定や法令等を遵守するとともに、〈説明責任を果たします〉との文言がある。広報を通じて、大津氏自身もこの誓約書に署名しているとの回答があった。

 そこで我々は帰宅途中の大津氏を直撃した。

関連キーワード

関連記事

トピックス

体調を見極めながらの公務へのお出ましだという(4月、東京・清瀬市。写真/JMPA)
体調不調が長引く紀子さま、宮内庁病院は「1500万円分の薬」を購入 “皇室のかかりつけ医”に炎症性腸疾患のスペシャリストが着任
女性セブン
学習院初等科時代から山本さん(右)と共にチェロを演奏され来た(写真は2017年4月、東京・豊島区。写真/JMPA)
愛子さま、早逝の親友チェリストの「追悼コンサート」をご鑑賞 ステージには木村拓哉の長女Cocomiの姿
女性セブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン
睡眠研究の第一人者、柳沢正史教授
ノーベル賞候補となった研究者に訊いた“睡眠の謎”「自称ショートスリーパーの99%以上はただの寝不足です」
週刊ポスト
公式X(旧Twitter)アカウントを開設した氷川きよし(インスタグラムより)
《再始動》事務所独立の氷川きよしが公式Xアカウントを開設 芸名は継続の裏で手放した「過去」
NEWSポストセブン
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
女性セブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン
現役を引退した宇野昌磨、今年1月に現役引退した本田真凜(時事通信フォト)
《電撃引退のフィギュア宇野昌磨》本田真凜との結婚より優先した「2年後の人生設計」設立した個人事務所が定めた意外な方針
NEWSポストセブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
「ホテルやネカフェを転々」NHK・林田理沙アナ、一般男性と離婚していた「局内でも心配の声あがる」
NEWSポストセブン
猛追するブチギレ男性店員を止める女性スタッフ
《逆カスハラ》「おい、表出ろ!」マクドナルド柏店のブチギレ男性店員はマネージャー「ヤバいのがいると言われていた」騒動の一部始終
NEWSポストセブン
【中森明菜、期待高まる“地上波出演”】大ファン公言の有働由美子アナ、MC担当番組のために“直接オファー”も辞さない構え
【中森明菜、期待高まる“地上波出演”】大ファン公言の有働由美子アナ、MC担当番組のために“直接オファー”も辞さない構え
女性セブン