結婚7年目、松の妊娠をきっかけに雪解けが訪れた。いまでは白鸚は、娘夫婦が孫を連れて実家に来ることが何よりの楽しみだという。やっと物心がつきはじめた孫に、自分の役者としての姿を見せたいという想いもあるのだろう。
「これからも命のある限り、芝居を続けてまいります」
前述した『ラ・マンチャの男』のカーテンコールで、白鸚はそうも話していた。だが、白鸚に近しい歌舞伎関係者は、9月の歌舞伎公演に「とても出られるような状態ではない」と明かす。
「昨年秋の入院は“大病を患ったから”ともっぱらです。あの年齢で病気を抱えながら舞台に立つのはリスクが大きすぎる。松さんも、白鸚さんの体調に不安を募らせています。でも、これまで父娘としての関係でありながら、役者としての対等な関係でもあった。父の想いを痛いほどわかっているから、舞台に立たせたい。でも、父の体は限界を迎えているのも知っている。娘と役者のはざまで、悲痛な大きな葛藤を抱えているんです」(前出・芸能関係者)
それでも、生涯役者の父は、舞台に立つ日を見据えている。
※女性セブン2023年8月10日号