「うちの親はみんなで集まるのが嫌い」「施設が嫌い」というのは、従来の施設のイメージに引きずられた子供の思い込みであることが多いのではないでしょうか。
さらに2017年からスタートした新制度では、介護認定で「自立」とされた元気な高齢者や、まだ介護認定を受けていないすべての65歳以上が利用できる「介護予防サービス」が各市区町村で始まっています。その内容は多岐にわたり、体力作りのための運動やマージャンなどのサークル活動もデイサービスなどの場で実施されています。
だから、行ってみる前から「行きたくない」と渋る親御さんには、とにかく騙してでも行かせてみることが大事だと思います。そうすることで、良い結果につながることが多い気がします。万が一、行ってみて「自分に合わない」と本人が思えば、利用する施設やサービスを他のところに選び直すことも一手ではないでしょうか。
食事、入浴とサービス満点。まずは行かせることが大事
また、症状が軽いうちは「デイサービスなんて行ってもつまらない」と思っていても、少しずつ認知や身体の症状が進むうちに、施設で集まって取り組むことが楽しめるようになることもあります。一度ダメだったからと言って、それ以降、利用するのを諦めてしまうのはもったいない。初めは施設に行くのを嫌がった人が、しぶとく通ううちに、デイサービスを喜ぶようになることはままあることです。
デイサービスを利用するメリットは、スタッフによる接遇の良さやレクリエーションの楽しみだけではありません。
在宅介護を受けている人が自宅で入浴したり、その入浴を家族が介助したりするのは、かなりの労力を伴う作業です。しかしデイサービスの施設であれば、機械浴を使うこともでき、本人も楽な姿勢のまま入浴することが可能です。
食事も同様。栄養バランスを考え、嚥下機能の状態などその時々の身体状況に合わせて家庭で1日3食を用意するのは大変なことですが、そのうちの昼食をデイサービスで摂ることができれば、毎日工夫を凝らしたメニューの提供を受けることできます。
そのように、レクリエーションができて食事がついて入浴ができて、しかも送迎までしてくれて、介護保険の給付対象なら自己負担は1日1000〜2000円前後+昼食代(利用するサービスや収入などの条件により異なる)で済みます。
そうしたことからも、在宅介護などでデイサービスを利用しない手はありません。本人が行きたがらない場合でも、手を替え品を替え、「一度試しに行ってみたら」「嫌ならやめていいから」などとうまく誘導して、まずは行かせることが大事だと私は思います。