松尾院長の研究では瞼をこすり、ミューラー筋を引っ張ると脳の血流が増加することが画像診断で実証された。実は脳の血流が減少すると脳機能低下以外にも、不要なタンパクであるアミロイドβが脳に溜まりやすくなる。これがアルツハイマー病の発症に繋がる可能性があるという。
また腱膜が瞼板から外れる眼瞼下垂で、瞼が機能しなくなった場合、歯の歯根膜機械受容器がミューラー筋の代わりに脳を覚醒させるスイッチの役割を担う。ただし、歯を噛み締めると固有感覚が生じ、青斑核が刺激され、やる気も出てくるが、噛み締めすぎてしまうと歯根破折や歯周炎を発症する恐れもある。
「眼瞼下垂発見の簡単な検査方法の一つが、普通に目を見開く際に眉が上るかどうか。目を開けるときに眉が上がるのは腱膜が外れているせいなので、眼瞼下垂の治療が必要です」(松尾院長)
脳の覚醒に直結し、様々な症状を引き起こす眼瞼下垂の治療法については次号にて。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2023年9月29日号