添付文書の記載をもとに、生活習慣病治療に用いられる薬について「併用注意」の薬を別掲の表にまとめた。
秋津医院院長の秋津壽男医師(内科)が、70代のある男性患者のケースについてこう語る。
「私の医院で高血圧の治療をしていた方が、別の泌尿器科で前立腺肥大症の薬を処方されました。実はその薬が降圧剤としても使われるα1遮断薬でした。もともと服用していた降圧剤との併用により、その患者さんは血圧が下がりすぎて立ちくらみを起こしてしまった。そのため、私の医院で一括して処方し、前立腺肥大症の薬を血圧の下がらない薬に変更しました」
新タイプの降圧剤に注意
こうした事例は、全国の病院で起きている。
日本病院薬剤師会が2018年に公開した『多剤投薬の患者に対する病院薬剤師の対応事例集』(以下『事例集』)には全国48施設における33の事例が紹介され、「危ない飲み合わせ」の実態を知ることができる。
『事例集』のなかに、こんな実例がある。医師から降圧剤を「漫然投与」されていた80代男性は、4種類もの降圧剤を服用していた。しかも高血圧学会のガイドラインでも推奨されない組み合わせ(ARBとACE阻害薬)が同時処方されており、腎機能障害などの副作用リスクにさらされていた。