また大橋医師は、「新しい薬」にも注意が必要だと指摘する。2019年に承認され、2020年から普及し始めた新タイプの降圧剤「MRA(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)」は効果の高さの一方で、副作用への警戒が欠かせないという。
「最近、高血圧や慢性心不全の治療で使われるMRAは、人によっては血圧がよく安定し心臓が保護されますが、副作用として血清カリウム値が上昇する方がいます。高カリウム血症になると、吐き気や不整脈などの症状が出ることがあります」
大橋医師が診た患者のなかには、次のようなケースがあった。
「このMRAとARBを併用した70代の男性患者さんは、その後、血清カリウム値の上昇が見られたためにMRAの処方を中止しました。ただ、添付文書にもありますが、定期的に血清カリウム値を測定して上昇しなければ、それらの併用は継続できます」(大橋医師)
糖尿病治療薬も種類が多岐にわたるが、作用が増強されるなどして「低血糖」になるリスクがあるため、「ほかの糖尿病治療薬」が併用注意であるケースが多い。
しかし、実際は血糖コントロールのために複数の糖尿病治療薬が用いられる実態がある。