スマホから無線で操作できるなど、個人で手軽に導入できる防犯カメラも増えている(イメージ)

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 最近は、これらの映像や写真について「報酬が支払われない」とSNSで非難されることがあるが、報道利用では原則として無報酬である理由を知らないのだろう。もちろん、取材謝礼が発生することがないわけではない。ただし、あってもごく稀であり、しかも収入の見込みを立てられるような額ではない薄謝や記念品におさめる。謝礼を目的とした虚偽情報の提示や、新たな事件や事故を発生させてしまわないようにするためだ。

 ところが、そのわずかな「謝礼」のためなのか、自己顕示欲や承認欲求のためなのか、むやみやたらと情報提供をしたがる人たちが増えていると、前出の民放記者が打ち明ける。

「謝礼の支払いはそれぞれの判断ですが、高額な謝礼を出している局はありません。視聴者の映像に数百円から一千円程度の謝礼を支払っているという局は、提供映像の数がとんでもない数になることがあるそうです。そのため、報じるために必要な裏取りが、他社に比べてかなり雑になってきたと噂になっていました。案の上、海外で発生した事故や事件の写真や映像を日本国内のものとした虚偽のSNS投稿をそのまま放送。謝罪に追い込まれ、ネットが炎上しました」(民放記者)

 この民放記者によると、薄謝を払うと知られるようになったテレビ局には膨大な「情報が飛んでくる」状態になってしまい、物量を捌くために必要なプロセス、たとえば映像や画像の真贋確認などが不十分になってしまった、ということのようだ。結果として誤報を出すことになってしまった記者は「もううんざりだ」とこぼしていたという。だが問題はこの一社にとどまらない。

提供映像の前後がカットされていて、確認できていなかった

 今やすべてのテレビ局がインターネット上に設置している視聴者動画窓口などから投稿が多数、寄せられる時代だ。捌ききれないのが正直なところなのに、窓口を閉める予定はどこにもない。別の民放社会部記者(40代)が説明する。

「視聴者映像は、今では視聴率のとれる必須の”コンテンツ”であり、ニュースだけでなく、バラエティ番組でも使い倒している(筆者注:報道以外での使用には改めて許諾などの手続きが取られている)。とにかく映像を使うことが最優先で、裏取りが薄くなることもしばしば。本当は撮影者や提供者に確認しなければセンシティブな情報だって、しつこく聞いて機嫌を損なうと映像が使えなくなるから黙っておこうと考える記者やディレクターもいます」(社会部記者)

 こうした確認が不十分な取材を経て報じられることが増えているため、日々のニュースのクオリティ維持に影響を及ぼしている。

「不審人物が来たという防犯カメラの映像が視聴者から寄せられ、撮影者である被害者の主張どおりに報じられました。ところが後日、不審者として報じられた人物、そして警察から連絡があり、放送が事実と違うと抗議を受けたんです」(民放キー局ディレクター)

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