お笑い業界からも「師弟関係」がなくなった
時代は変わり、今はお笑い業界にも「師弟関係」というものがあまり見られなくなってきている。決して悪いことではない一方、どこか寂しさもあると村上は語る。
「いまの若い芸人たちは、M-1などの賞レースでドンと売れるし、YouTubeとかTikTokで人気が出れば十分メシを食べていける。僕らの時代とは違い、いまの若い芸人たちは師匠のもとで修業しなくても、自分の力で道を切り拓いていけるんですよね。それは悪いことではありませんが、昔ながらの師弟関係みたいなものがなくなってしまったのは少し寂しいです。『弟子入りさせてください』なんて言ってくる若い芸人もいません。
昔は芸人を目指すなんて人は、家庭に事情があったり貧乏人が多かった。みんな若い頃は食えなかったので色んな人から優しくしてもらったし恩恵を受けていたけど、今はあまりそういう話は聞かないですね。今は東大生とか、裕福な家庭で育った子も芸人になる時代ですからね。
ネットで色んなことを調べられるし、どんな芸がウケるのか分析もできる。でも、“YouTubeでこういうのがウケている”となれば、みんな同じような発想をするようになってしまうんですよ。まぁ、それも時代なんでしょうね。だからこそ、『ブギウギ』で描かれている師弟関係は、僕らの世代にはどストライクで、こういう関係性は良いなぁと思いますね。お互いに才能を認め合って高め合う、素晴らしい関係だなと思いながらドラマを観ています。やっぱり、色々な経験を積んだ師匠から学ぶことはたくさんある。僕は昭和の時代に師匠のもとで色々と学ぶことができて本当に良かったと思っています。
ちなみに、『ブギウギ』のモデルとなった笠置シヅ子さんは吉本の創業者の息子との間に子供をもうけ、その後も波乱万丈な人生を送っておられる。ドラマではヒロインの恋がどのように描かれるのか、そこも注目して観ています」